これぞ主砲のひと振りだった。同点の6回2死一塁、西武中村剛也内野手(35)は甘く入ったフォークを一閃(いっせん)。28号決勝2ランをバックスクリーン左にたたき込んだ。

マジック1と先発菊池にソフトバンク戦初勝利を運ぶ値千金弾。「少し詰まってどうかな、と思ったんですが(球場の)声援のおかげです。あまり甘い球はなかったんですが、1発で仕留めることが出来ました」とホームの大歓声に感謝した。

不退転の決意で迎えたプロ17年目。3月下旬、前を見据えて言った。「今年はしっかり守って試合に出る。出るということは結果を残さないと。まだまだやれるという姿を見せないと」。

開幕直前の必勝祈願。絵馬に記したひと言に、その思いを込めた。「勝ちたい」。昨季は規定打席に到達したシーズンで初めて本塁打王を逃した。ふがいない思いはもう十分だった。

中村 ここ数年、あかんかった。チームとしても、もちろん勝ちたいし、過去の自分にも勝ちたい。

不振やケガに直面しても、決してあきらめない。6月27日オリックス戦から、ここまで全試合スタメン出場。3カ月間で昨年の本塁打数と同じ27発を重ね、この日の28本目で、10年ぶりの優勝へ王手をかけた。

有言実行のアーチストは言った。「ホームランにこだわってますけど、今日は勝てたことが一番。もうマジック1なので勝てばいいだけ。明日はホーム最終戦でもある。そこで決めたい」。一気にゴールテープを切る。【佐竹実】