日本ハムのルーキー清宮が、滞空時間の長い、美しい放物線を仙台の夜空に描いた。楽天菊池のフォークボールを右翼席中段へ運ぶ先制の7号ソロ。「打った瞬間」確信した3試合ぶりの1発で、目標とするソフトバンク王会長がプロ1年目で放った本塁打数に並んだ。「比べられるほどの選手じゃないけど、うれしい」と照れ笑いだ。

完全復活と、言っていい。7月中旬に行われたフレッシュ球宴後に右肘を痛め、実戦復帰してからはDH専門。守備の調整が遅れていた。この日、「6番・一塁手」で先発出場し、2軍戦を含めても約3カ月ぶりに守備に復帰。「やっと野球をやっている感じがした」と、実感した。

この日、引退を発表した19歳上の矢野から「幸太郎の売りは打撃だけど、1つじゃなく、いろいろなことを極めることが大事」と助言を受けたことが、忘れられない。本塁打後のパフォーマンス“キヨダンス”を提案したのも矢野。「真剣に助言をくれた。すごく大きな存在だった」という先輩に感謝の1発を届けた。

平成以降、高卒新人で7本塁打以上は、11本塁打している巨人松井に次ぎ2人目。スーパールーキーが、伝説に1歩近づいた。【中島宙恵】

▼清宮が今季7本目の本塁打。2リーグ制後、高卒新人の7本塁打以上は93年松井(巨人=11本)以来10人目。7本は59年王(巨人)に並んだ。7号のペースを比べると、王は出場73試合目、180打席目。清宮は47試合目、159打席目で、21打席少なかった。