13試合ぶりの黒星が決まった直後、ベンチの西武ナインはすぐには立ち上がれなかった。優勝マジック「1」で迎えたソフトバンク戦。勝つか引き分けで10年ぶりの優勝が決まったが、持ち越しとなった。今季の本拠地最終戦だったため、20年ぶりの地元胴上げはなくなった。辻発彦監督(59)は「残念。本当に、ここのスタンドで応援してくれるファンの前で優勝したかった。そう甘くはなかった」と心底、悔しがった。

自慢の山賊打線が相手先発ミランダに屈した。7回まで投げられ、散発5安打。3回に浅村の内野ゴロの間の1点のみに抑えられた。2点を追う7回無死一塁では、メヒアに代わり代打松井。引退するレジェンドの登場に沸いたが、三振で打開ならず。辻監督は「メヒアはチェンジアップに合ってなかった。1点差なら岡田でバントだったが、2点差なので攻撃するしかなかった」と振り返った。

選手に硬さはあったのか。辻監督の目には「そんなことはない。元々良い投手」と、いつもどおりに映った。先発今井には「緊張がある中、どうかと思ったが。ホームランは打たれたけど、(3者凡退の)6回は見事。優勝が近づく試合での経験は大きな財産になる」と糧にするよう願った。

今日30日、札幌に移動し、日本ハムとの4連戦に臨む。残り試合数を考えれば、優勝はほぼ間違いない。だが、指揮官は「向こうも北海道で意地がある。厳しい戦いになる」と油断しなかった。ソフトバンクが1つでも負けた時点で優勝だが、1日でも早く、勝って決めたい思いが強い。ここまで84勝。「85勝したい」と力を込めた。79勝で2位に終わった昨季から「背番号(85)と同じだけ勝てれば、優勝もみえてくる」と、こだわってきた数字。あと1つだ。【古川真弥】