巨人が広島に7-8で敗れ、06年以来12年ぶりのシーズン負け越しとなった。坂本勇人内野手(29)が2本塁打でチームをけん引したものの、投手陣が踏ん張れなかった。単独3位からDeNAと並ぶ3位タイに後退した。残り4試合中2試合が広島戦。Vチーム相手に勝利しないことには、クライマックスシリーズ進出が見えてこない。

V3王者の足元にしがみついた巨人は最後に振り切られた。4点ビハインドを追いつく執念を示したが、最後は守護神山口俊が崩れた。同点の9回。先頭菊池を四球で歩かす。さらに2死一塁から盗塁で揺さぶられ、西川に浮いた変化球を左前に運ばれ、勝ち越された。24日の阪神戦で3イニング完全投球を演じた右腕だが、先頭四球を許してもらえるほど、広島は甘くない。高橋監督は「結果的にそうだけど、総力戦でこういう結果になった」と総合的な敗戦と捉えた。

5回に刻まれた5失点が大きな敗因だった。先発今村が無死満塁とし、アダメスに譲った。だが制球難の助っ人は押し出し四球で同点。さらに内野ゴロで勝ち越されると、3連打で見る見るうちに突き放された。クリーンアップから下位へと向かう中で続投を選択したが、傷口を広げた。広島が6回無死一、二塁でヘルウェグにスイッチし、アウトを重ねながら最少失点の1点で切り抜けたのと対照的。指揮官は「きつい場面だったが、アダメスがストライクが入らなかった。何とか1点でも少なくというところ」と膨れ上がった失点を重く受け止めた。

6回以降の反撃で一時追いつくも、逆転できなかった。わずかな差のように思えるが、手の届かない力の差にも見えてくる。善戦も相手先発が今季未勝利の戸田ということも含め、手痛い結果だ。今日30日の本拠地最終戦は最多勝がかかる大瀬良が立ちふさがる。「明日何とか勝てるように頑張るしかない」。12年ぶりの負け越しが決定。今は負のデータよりも今日の1勝に全霊を尽くすしかない。【広重竜太郎】