岡本よ、禁煙で真の4番道を歩め! 巨人は23日、新監督に原辰徳氏(60)の復帰を発表し、都内の読売新聞本社で会見を開いた。3年契約で、背番号は第1次政権時と同じ83。3度目の就任で原点回帰するとの思いを込めてノビノビ野球を掲げた新監督は、今季4番打者として一皮むけた岡本のさらなる飛躍へ「たばこをやめること。自分を新しいステージに上げるため」と初指令を下した。3日に辞任を表明した高橋由伸監督(43)も会見に同席した。
原監督の言葉は伸びやかだった。約1時間に及んだ就任会見の最後。岡本が4番としてさらに成長するに何が必要か、問われた。終始、高揚感から紅潮していた顔に笑みが浮かんだ。「まず、たばこをやめることだね。青少年育成を含めた夢を追い掛ける点で改めれば、来季はさらに上の成績になるのでは。自分を新しいステージに上げる、目標を置くために。勧めないようにしてください(笑い)」。冗談めかしながらも真剣な禁煙のススメだった。
岡本には思い入れがある。14年のドラフト会議前。当時の最大の補強ポイントは投手だったが、スカウトに「数年後、4番を打てる選手になれるか?」と評価を聞いた上で、1位指名に踏み切った。監督を退任した15年、新人岡本はプロの壁にぶち当たり「私の時は時期尚早だった」。だが3年の雌伏の時を経て今季は史上最年少で3割、30本、100打点を挙げた。
原監督 少々の波風が立とうが4番を守りきった、いや戦い抜いた。感無量だ。ただプロの世界は今年が良かったから来年もという世界ではない。今年以上に彼と向き合っていきたい。
チームに無形の巨人愛を注ぐ。目指すチーム像ははっきりしている。監督を離れた間、スポーツ界に絡むパワハラ問題など悲しいニュースに触れて感じた。「原点はノビノビやるのがスポーツ。はつらつと楽しむことが必要だ」。その上で勝利を究める。「勝って喜ぶ。負けて悔しがる。選手もノビノビやってほしい。原点に戻り、私もそういう野球をする」と誓った。
ただ自由を与えるのとは違う。実力至上主義は不変。ファームのコーチ陣は2、3軍の肩書をつけない。「チームは1つ。2、3軍というチームではない。1軍に戦力として戦える選手を送り出せるために2軍で基礎をたたき直せるか。コーチの中でも競争し合うことも必要」と説いた。
チームは世代交代を迫られる一方で、球団史上ワーストタイの4年連続V逸という危機にある。「巨人軍でなければいけない。個人軍ではいけない。誰と戦うことが巨人にとって一番なのか。それを観察してチームとして戦いたい」。1つの目的を旗印に軍団を束ねていく。【広重竜太郎】
◆巨人監督メモ 原氏が巨人19代目の監督に就任。通算3度目の指揮となる。代理、代行を除くと、天知俊一監督(中日)吉田義男監督(阪神)が同一球団を3度指揮した例があるが、巨人で3度は初めて。また、巨人の監督在位通算年数が長いのは(1)長嶋茂雄15年(2)川上哲治14年(3)原辰徳12年で、原監督が3年務めれば長嶋監督に並ぶ。
◆原辰徳(はら・たつのり)1958年(昭33)7月22日、福岡県生まれ。東海大相模で甲子園4度出場。東海大を経て80年ドラフト1位で巨人入団。1年目に22本塁打で新人王。83年打点王、MVP。ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞2度。95年に現役引退し、99年にコーチで巨人復帰。02年監督に就任し日本一。03年退任も06年復帰。15年まで指揮を執り、2度のリーグ3連覇。09年WBCでは日本代表を率いて世界一。02、09、12年正力松太郎賞。今年1月に野球殿堂入り。181センチ、88キロ。右投げ右打ち。