1回戦3試合が行われ、東海理化(愛知)が室蘭シャークス(北海道)との延長12回タイブレークを制し、社会人野球の2大大会初勝利を挙げた。先発の立野和明投手(20=中部大第一)が、自己最速の150キロを計測するなど4安打10奪三振で完投。阪神スカウト陣は来年のドラフト1位候補とぞっこんだ。

20歳の右腕が、虎の来秋ドラフト1位候補に名乗りを上げた。先発立野が初回の先頭打者に投じた2球目だった。いきなり自己最速を1キロ更新する150キロを計測。「とりあえず150キロが出てよかった。1つの壁でしたし、それにプラス勝つことができてよかったです」。140キロ代後半の直球を主体に、6回までノーヒット。9回に追いつかれてタイブレークとなったが、12回10奪三振で4安打1失点完投。チームの白星発進を導いた。この日は日本ハム、阪神など7球団のスカウトが視察。阪神熊野スカウトは「来年の目玉。順調に来ているし、けがなくこのまま行けば(阪神でも)1位候補になる」と絶賛した。

2年前の高校時代から体重は約9キロ増えて78キロに。142キロだった球速は8キロも上がった。入社1年目は約1カ月間、寮の自室で白米を炊き、毎日練習に約3合を持参するなど、食べてパワーアップに取り組んできた努力の証しだ。

「これが通過点。目指すところは日本一。チームが勝ったうえでプロにいけたら」。高校最後の夏は2回戦敗退で、この日は野球人生初の全国大会先発。シンデレラボーイが一躍虎の恋人に躍り出た。【磯綾乃】

◆立野和明(たての・かずあき)1998年(平10)4月3日、愛知県生まれ。小1の時に野球を始め、豊山中では東海ボーイズに所属。中部大第一高では甲子園出場はなし。東海理化では1年目から登板し、夏の都市対抗では東邦ガスの補強選手に選出された。最速150キロ、181センチ78キロ。右投げ右打ち。