「運が良かった」。「ラッキーでした」。ソフトバンク柳田悠岐外野手は、2年連続日本一をつかんだ自身の活躍を、きっとこう表現するだろう。

今季は首位打者、最高出塁率のタイトルを獲得し、本塁打と打点は自己最多をマーク。CSファイナルでもMVPを取ったが常に謙虚だ。どんな結果にも「たまたまです」と話し、力をひけらかすことを一切しない。

当然、運をつかむだけの努力があるからこそだ。今年は「調子は別に良くない」と言い続けた。結果が良くても悪くても、「毎回ピッチャーも違えば、球も違う」と毎日、最善を求めてフォームを模索した。年下の選手やスタッフの声にもいつでも真摯(しんし)に耳を傾けた。「はまるかはまらないかはやってみないとわからない」という小さな修正を重ね、1年間不調の波を作らず打ち続けた。おごりを知らない最強打者に野球の神様がほほえむのは必然だった。