第49回明治神宮野球大会(神宮)が今日9日に開幕する。昨夏の宮城大会1回戦で18三振を奪った筑波大(関東5連盟第2代表)の1年生左腕・佐藤隼輔(仙台)が、全国に名をとどろかす時がきた。今秋の首都大学リーグ初登板から代表決定戦まで、31回2/3を自責0と完璧な内容。明日10日の初戦で近大(関西5連盟第1代表)と対戦する。8日は各校の全選手らが都内で行われた開会式に出席し、主将は明治神宮に参拝した。

佐藤が全国の強打者に左腕を振り切る。最速144キロの直球と、切れ味鋭いスライダーが武器。今秋のリーグ戦は全5週の5試合で先発を任され、25回無失点。明治神宮大会出場を決めた関東5連盟代表決定戦準決勝の神奈川大戦でも、6回2/3を2安打無失点で12年ぶり4度目切符を導いた。自身も初の全国舞台に向け「首都リーグ、関東の代表にふさわしい投球をしなくてはならない。ゼロで続いているので最低限のゲームメークが必要。リズム良く投げて、何とか後ろにつなぎたい」と意気込んだ。

筑波大は川村卓監督(48)のケガ抑制に対する方針もあって、通常の練習から球数制限を設けている。筋力や疲労回復度合いの傾向を医学的に分析し、佐藤は1週間に約70~80球程度を目安に設定。リーグ戦の桜美林大戦でも6回2安打9奪三振で継投するほど。佐藤は「ケガをしない感謝もありますし、9回完投を狙うのではなく、短いイニングに集中して全力で投げられるメリットもあると思う」。身長も伸びている成長段階での投手育成が、好投の一助にもなっている。

昨夏は名取北戦で18奪三振完封するなど、29回連続無失点。準々決勝で敗退したが、奪三振率12・7など、プロのスカウトからの評価も高かった逸材だ。「甲子園に行ったわけではないですし、力不足を感じていた。筑波大は研究でも最先端だし、一回りも二回りも大きくなれると思って入学した」。選択は間違っていないと確信している。

現在のテーマは「力で三振をとりにいくのではなく、力まないこと」。神宮の大舞台でも貫き通す。大学での目標は「全国制覇、日本代表、ドラフト1位」と即答。まずは今大会を序章に、飛躍の制限はない。【鎌田直秀】