オリックス育成1位指名の新潟医療福祉大・漆原大晟投手(22)が8日、同大で牧田勝吾チーフスカウト(44)、柳川浩二スカウト(42)から指名あいさつを受けた。「ひと言で言えば、ホレた選手」と牧田チーフスカウトから期待の大きさを告げられ、支配下登録選手への思いを強くした。仮契約は30日に新潟市内で行われる。

漆原の表情は澄み切っていた。明確な目標を定めた顔は、飛びっきりの笑顔だった。育成から支配下登録選手への階段を、強靱(きょうじん)な下半身で駆け上がるのが第1目標。「スタートラインにつく、心の準備はできた」と指名あいさつを受けたこの日、そう決意を固めた漆原は続けた。「初年度で支配下登録選手。打者との対戦を楽しみ、打者をねじ伏せる気持ちでやっていきたい」。

オリックスの牧田チーフスカウトは「縁のある選手」と漆原を評した。新潟明訓2年の頃から新潟に足を運び、成長を見守ってきた。ドラフト会議1週間前にも新潟医療福祉大のブルペンで投げる姿を最終チェック。「速球(最速151キロ)を持ち、縦の変化球(フォーク)は空振りを取れる落差。完投能力があるから、先発ローテーションを目指して欲しい」と言った。

漆原は2年先輩の中日・笠原祥太郎投手(23)の後ろ姿を、ずっと追い掛けてきた。今季6勝を挙げた尊敬する先輩は侍ジャパンに初選出され、7日の台湾代表戦で先発し、2回を被安打1、2奪三振で無失点投球。ダイジェスト映像を見た漆原は「自分を知り尽くした投球は勉強になった。プロの第一線にいる先輩を追っていきたい」とプロの世界に身を移して、笠原を猛追する覚悟を見せた。

「(漆原を)しっかり育てないと周囲から何を言われるか分からない。責任を持って必ず支配下、1軍のマウンドに上がるようにしたい」と牧田チーフスカウトは期待の大きさを明かした。30日には仮契約。入団発表は12月15日を予定している。プロの世界に飛び込む漆原のレールは、すでに敷かれている。【涌井幹雄】