さらば、カントリー。広島が14日、7年在籍したブラッド・エルドレッド内野手(38)と来季契約を結ばないことを発表した。14年には本塁打王のタイトルを獲得するなど、長距離砲として存在感を発揮。日本やチームに溶け込もうとする人柄はチーム内外から親しまれ、そして愛された。来季は日本球界でのプレーを希望しているが、カープとはこれでお別れになる。

広島の街、広島ファンのSNSがざわついた。広島から外国人選手の契約について発表され、来日7年を過ごしたエルドレッドの退団が明らかとなった。鈴木球団本部長は「長く貢献してくれたけど、外国人枠も含めて厳しい」と断腸の思いで決断。広島の選手、関係者、ファンから愛された「カントリー」が、カープを去る。

12年シーズン途中に来日し、当時の打線には少ない長距離砲として存在感を放った。年数を重ねるごとに軽打でつなぐ場面も見られるなど、日本球界で打撃は進化。14年には37本塁打で本塁打王を獲得。通算133本塁打は球団外国人歴代2位の数字だ。ただ、アカデミー出身の若いバティスタやメヒアの台頭で出番は激減。6月9日の降格から再昇格はないまま、首痛もあってシーズンを終えた。

現役引退の新井が広島を「家族」と表現したように、エルドレッドもまた「家族」と親しみを抱いた。「ほかの球団と比べると、家族的なところを感じる。1人1人のつながりが強い」。日本語は聞き取りをほぼできるまでになり、通訳なしでも会話できるほどマスターした。年上選手には「センパイ」と姿勢を正し、松山には「デブ」といじって盛り上げた。2軍でも若手の見本となるよう、明るく前向きに過ごしてきた。1、2軍問わず、外国人枠を争うライバルであるバティスタやメヒアにもアドバイスを惜しまなかった。

チームに求められ、ファンから愛された。これだけ広島を愛し、愛された外国人選手はいなかったかもしれない。松田球団オーナーも「地域にしっかり溶け込んでいたし、貢献してくれた。素晴らしい人柄。すごく寂しく思う」と別れを惜しんだ。今後は日本球界での現役続行を希望するも、広島とは「good bye」ではなく、「see you again」という言葉がしっくりくる。【前原淳】