日本の主砲が、メジャーへの夢を打ち明けた。DeNA筒香嘉智外野手(27)が11月30日、横浜市内の球団事務所で行われた契約更改交渉の場で、ポスティングシステム(入札制度)を利用したメジャー移籍の容認を球団側に求めた。

海外FA権の取得は、順調にいけば21年シーズン中。ポスティングを利用すれば前倒しの移籍が実現する。侍ジャパンの中軸を担うが「小さい頃からの夢」と語った舞台へ駆け上がる階段が見えてきた。交渉では5000万円アップの推定年俸4億円で更改した。

筒香が夢を語り出した。契約更改を終えての会見。「今日、小さい頃からの夢であるメジャーでプレーしたい思いがあることを、球団の方に伝えさせてもらいました」。関係者の話によると、早ければ来オフ、ポスティング利用による、メジャー移籍容認を球団側に求めた模様。日本球界が誇るスラッガーが抱く大きな夢は、年俸4億円の大台到達で契約更改したニュースを吹き飛ばした。

このタイミングでの意思表明をすることで、2年前倒しでのメジャー挑戦が可能となる。筒香の海外FA取得は順当にいっても21年。メジャー挑戦が30歳で開幕を迎える22年シーズンとなる。ポスティングが容認されれば、早ければ20年シーズンから挑戦が可能。脂の乗り切った20代でのチャレンジを実現するためには、このタイミングで思いを伝えるしかなかった。

思いは抱き続けていた。「小さいころからメジャーを見て、憧れがあった」。元ヤンキースの松井秀喜は特別な存在だった。「僕にとって打者でスターといえば松井さん。海外でああやって活躍することはすごいこと」。ここ数年は、移動時間にスマホでメジャーリーガーの映像を頻繁に視聴。本塁打を打った際には、後輩の乙坂とベンチ前でメジャーのパフォーマンスを取り入れることもあった。近い周囲には思いを伝えていたようだ。

球団側は冷静に受け止めた上で、話し合いを続けていく方針。一気に移籍の注目を集める中、筒香は「来年、ベイスターズでプレーすることは決まっている。今年は個人もチームも悔しい思いをした。来年、ベイスターズのために、全力を出す」と腹を据えて言い切る。夢を語り切った分、ラストイヤーになるかもしれない来季にかける思いも、自然と強くなる。【栗田成芳】