【ホノルル(米ハワイ州)3日(日本時間4日)=前原淳】コイのリーダーになる。広島菊池涼介内野手(28)が来季、チームを引っ張っていく覚悟を決めた。引退の新井に続き、FAで丸が移籍。主力を欠く緊急事態も、新リーダーは同世代の選手を束ねてさらなる高みを目指していく。ピンチを、チャンスに変える。

南国の日差しを浴びながら、菊池の笑顔が輝いている。「みんなで勝ち取ったご褒美なので。こういう(団体行動の)縛りも普段だったら苦だけどね。優勝旅行の醍醐味(だいごみ)かな。家族を連れてくる機会はなかなかない。僕は絶対どんな状況でも出席したい。やっぱり球団行事だと思う」。オーナー杯では引退する新井とともに、松山と同学年の田中とラウンド。常夏の島で来季へ向けたナインの思いを1つにしようとしている。

今季までともにチームを引っ張ってきた丸がFAで移籍した。入団してすぐにまだ低迷するチームで「キクマル」と呼ばれ、中心選手として期待を背負った。「最初は(丸に)引っ張ってもらってる方が多かった。あいつが何とかしてくれるという余裕もあった」。先に入団した同学年と切磋琢磨(せっさたくま)したから、今がある。

丸だけでなく、慕っていた新井も引退。菊池の両肩に大きな期待がかかる。「1人じゃどうもならないし、そんな技量もない。(田中)広輔、(鈴木)誠也、まっちゃん(松山)。みんなで分散して大きい穴を埋めていければ何とかなると思う。そういう意味でもまた一丸になれるチャンスだと思っている」。ピンチをチャンスと捉える精神的な強さこそ、リーダーに求められる。

残り26本とした1000安打は通過点。「今年達成しなきゃいけなかった数字」。チームは3連覇も、打撃面ではシーズン通して調子を取り戻すことができず、悔しい思いをした。「本当に成績を残さないといけない」。先頭に立つ覚悟を決めた来季へ向けて、年内は米ロスで自主トレ。昨オフ同様にグルテンフリーでの肉体改善にも取り組み、年明けには静岡で本格始動する。来オフもチームメートと笑って常夏の島で過ごすために、来季はチームの旗手となる。