今季限りでソフトバンクを退団した摂津正投手(36)が現役引退を決断したことが30日、分かった。現役続行を希望していたがオファーはなく、年内を区切りとした。

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口数は少なく、厳しいけど優しい。それが摂津だった。一緒に自主トレを行っていた岡本は「あまりしゃべらない。教えてもらうというより、背中で引っ張っていた」と話す。14年の春季キャンプ。支配下登録されたばかりでA組(1軍)に抜てきされた甲斐を相手にブルペン投球。捕球にダメを出した。甲斐は泣きそうだったが、その後の努力を見ていた摂津は後年、自らの自主トレに甲斐を同行させた。

冷静沈着。それは試合前の始球式でも同じだった。どんなアイドルや大物が目の前に来ても、マウンドで常に表情が同じためネットでも話題となった。昨年はタマホームスタジアム筑後での2軍戦で2度、始球式を終えた人物から握手を求められるハプニングがあった。2度とも先頭打者に長打を許した。「関係ないですよ」と話していたが、人間味を感じた。

記者が書いた記事に事実と異なる記載があると指摘してくれた。曲がったことが大嫌い。中途半端も嫌い。自分に厳しい摂津だからこそ引退を決めたのだろう。【ソフトバンク担当=石橋隆雄】