楽天育成2位の則本佳樹投手(24=山岸ロジスターズ)が、兄も暮らした“出世部屋”から成り上がる。5日、新入団10選手のうち一番乗りで仙台・泉犬鷲寮に入寮。割り当てられた2号室はエースである兄の昂大や松井が過ごしてきた部屋とあって「気分的にうれしさはある。出世部屋と呼ばれる流れに乗っかれるよう、まずは支配下を目指して頑張りたい」と誓った。

基本的に投手から投手、野手から野手という部屋割りの流れがあり、ドラフト1位の辰己涼介外野手(22=立命大)は昨季新人王の田中が入っていた8号室。「(兄から)『たぶん同じ部屋ちゃうか?』と言われていた」と笑ったように、兄弟の縁にも配慮して則本佳に栄えある一室が引き継がれた。真っ先にベッドへ広げた「マニフレックス」のマットレスは、兄が若手の頃に使っていたもの。退寮後は球場に置いてあったというが「マットレスは大事。こだわった方がいい」と気前よく送ってくれた。

実家での年末年始も兄の忠告通り体は動かしていた。最低限の荷物だけを持ち込み「この部屋は寝るだけで十分。娯楽は捨ててきました」。グラブには「雑草の如く」と刺しゅうを入れた。少年野球の監督から卒団時に送られた言葉を、いま一度かみしめたかったからだ。「雑草は、踏まれても踏まれても起き上がってくる。そういう気持ちでやれよ、と」。旺盛なハングリー精神で、兄とはひと味違うサクセスストーリーを紡いでいく。【亀山泰宏】