中日笠原祥太郎投手(23)が「打倒松坂」をモチベーションに、開幕投手に名乗りを上げた。5日に家電量販店「エディオン名古屋本店」のトークショーに出演。昨年は松坂と同じ6勝4敗の成績ながら、年俸のアップ率で完敗した。「営業査定を上げるには、頑張って有名にならないといけない。開幕投手なら…有名になれる」と知名度アップのため自身初の大役を目標に掲げた。

チームで最もネガティブ思考と言われる笠原が対抗心を燃やした。相手は「平成の怪物」だ。「僕は知名度がゼロ。松坂さんとは経済効果が違った」とつぶやいた。そして3年目の今季に大目標を掲げた。「開幕投手なら…、有名になれる」。この言葉の裏には人気面の格差があった。

昨年は17試合に先発し、6勝4敗、防御率4・14。シーズン中盤から宝刀チェンジアップを操り、貴重な先発左腕として躍動した。昨秋の日米野球では侍ジャパンにも初招集され、メジャーの打者と対戦した。オフの契約更改では900万増の2100円でサイン。しかし驚きの事実が待っていた。同じ6勝4敗の松坂は、1500万円から6500万円増の8000万円と大幅アップを勝ち取っていた。

笠原は思わず肩を落とした。実は契約交渉の席で訴えていた。「松坂さんと勝ち星は同じで、投球回数も投げている」。しかしベテラン右腕の実績、知名度、昨季から導入された営業査定では比べものにならない。球団側から説明を受け、白旗を揚げざるを得なかった。

名古屋市内を歩いていても、気づかれることは少ない。「営業査定を上げるには、頑張って有名にならないといけない」という思いに至った。「タイトルを取るなら何が?」と思い悩み、「開幕投手なら…有名になれる」と、初の開幕投手に名乗りを上げた。松坂や吉見はドーム球場を得意にしている。開幕カードはDeNA戦(横浜)。屋外球場を考慮すると、笠原にもチャンスはある。

昨年、成長したのは、松坂の存在があった。「ピンチをピンチと思わないで投げている、とテレビか新聞で見た。走者がいても、あと1人抑えれば終わりって思えるようになった。一番効果があった」。実績、人気の両面で大先輩に少しでも近づくため、笠原が本気で開幕戦のマウンドを狙う。【伊東大介】(金額は推定)

◆今季の中日先発予想陣容 昨季チームトップ13勝のガルシアが阪神に移籍。今季の先発ローテーションは複数の投手が候補に挙がる。新戦力ロメロに、山井、松坂、吉見のベテラン組。復活を期す大野雄、柳、小笠原、笠原、藤嶋らが名を連ねる。開幕カードは敵地でDeNAと戦う。昨年は松坂、吉見がドーム球場を得意とした。山井は横浜スタジアムと相性がいい。小笠原は昨季に左肘を手術しており、開幕投手は厳しい。今後、キャンプ、オープン戦をへて、与田監督がいかなる決断を下すかに注目だ。