10万馬力でプロ野球界を駆け上がる。広島ドラフト1位の小園海斗内野手(18=報徳学園)が6日、鉄腕アトムのぬいぐるみを片手に、広島・廿日市市の大野寮に入寮した。日本人なら誰もが知るキャラクターとともに、寮の門をくぐったのは、初めて親元を離れる生活の寂しさを紛らせるためではない。生まれ育った兵庫・宝塚市への感謝と恩返しする決意を忘れないためだった。

「見守ってくれるんじゃないかなと。ずっと育ってきた場所なので。その思いを背負って、これからも頑張っていきたい」

昨年末に宝塚市の市民スポーツ賞を受賞した際に市長から贈られた。同市には市立手塚治虫記念館がある。偉大な漫画家が描いた世界的な知名度と人気を誇るキャラクターのようにプロの世界を駆け上がるつもりだ。「鉄腕なので投手ではないですけど、長く続けられる選手になりたい」。プロでの成長と成功を誓った。

今日7日に新人合同自主トレが始まる。すでに元日から始動し、準備は万全。「いい形で作り上げてきたので、ケガだけを気をつけて準備していきたい」と胸を張る。2月1日から始まる春季キャンプでは1軍スタートの可能性も示唆されているだけに、気持ちは自然と高ぶる。「その話を聞いたときから自分の意識も変わりました。決まっているわけじゃない。その決定まで、そのあともしっかりとしたプレーができるように行動しないといけない」。初めて親元を離れ、覚悟は固まった。宝塚から広島、そして日本全国へ。カープの子と期待される小園が、プロの世界に飛び出した。【前原淳】