日本ハムは2018年で北海道移転15年。過去の名場面、珍場面を、当時の紙面とともに振り返ります。

<06年6月6日付>

当時の紙面には、過激な見出しが躍っている。「新庄が…死ぬ?」。読者はきっと思っただろう。「いやいや、そんな大げさな」。だがけっしてそうではなかったのだ。本当に、命をかけたパフォーマンスだった。

6月6日阪神戦の試合前、札幌ドームの天井から、ミラーボールに乗った新庄が降りてきた。高さ約50メートル。ビルの20階に相当するという。歌手・松任谷由実らの舞台で何度も経験があるプロ集団の協力を得て実現。命綱はワイヤ1本。もしも落ちていたら…。「リハーサルをやるとビビるかもしれない」と一発勝負で臨んだ新庄も、屋根裏で「たけー」と絶叫したという。

このおよそ2カ月前。新庄は4月18日オリックス戦のヒーローインタビューで、引退を宣言した。プレーを、そしてパフォーマンスを見せるのも残りわずか。愛着のある阪神と日本ハムの対戦カード。「みんなが見ていたら、やらなければいけない」。恐怖心を克服した決死のパフォーマンスだった。

プレーボール10分前に足が震えるほどの体験をしながら、試合では2打席目に適時打を放った。試合は3-0の快勝。ちなみにこの年、ハーレー・ダビッドソンで登場した3月の開幕戦も、瞬間移動のイリュージョンを行った9月のロッテ戦も勝利しており、パフォーマンスを行えば負けないという神話も生まれた。