広島に新加入した長野久義外野手(34)が、鈴木誠也外野手(24)と最強タッグを結成だ。

移籍後初のキャンプは一部別メニューとなったが、ランチ特打からは今季打線で中軸コンビを期待される鈴木と一緒に汗を流した。

「体も大きいし、すごいスイングをする」と感嘆した長野に、鈴木も「夢のような時間でした」と笑顔。リーグ4連覇と悲願の日本一は、“セイチョー”コンビがけん引する。

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赤いユニホームの「5」と「1」が打撃ケージに並んだ。だが、両者が描いた弾道は対照的だった。初日から5本の柵越えと鋭いライナー性の打球を連発した鈴木に対し、長野は中堅から右方向を意識したバッティングを徹底した。マシン相手の42球中、左方向へ飛んだのは2球のみ。迎打撃コーチを相手にした42スイングも半数以上が中堅から右方向への打球だった。

「まずは自分のスイングをすることと、左肩が早く開かないように。1日1日練習についていって実戦に入っていければいい」。

自己流調整を貫くが、やはりいつものキャンプ初日とは違った。チームが変わり、仲間も景色も違う。練習終了後は開口一番、「疲れました」と苦笑い。ただ、心地いい汗だったに違いない。若き4番とのランチ特打共演。「(鈴木は)体も大きいし、すごいスイングをするなと思った。音が違う」と驚きの表情。一方の鈴木は「夢のような時間でした」と笑顔で振り返った。その後もランニング、コンディショニングと2人の時間を過ごした。

参加しなかったケージ3カ所を含む10カ所で、同時に異なる打撃練習を行う広島流のローテーション打撃にも触発された様子。「本当にバットを振るなと思っていた。いい練習をしているなと思いました」。コンディショニング終了後には1人、右翼後方の雨天練習場で15分間のティー打撃。151スイングを“おかわり”した。ローテーション打撃には早ければ明日3日にも加わる。緒方監督は第3クール紅白戦出場も期待するだけに「しっかり出られるように準備したい」と表情を引き締めた。

赤いユニホームで初めて過ごした1日は特別な時間となった。「似合っているかどうか自分では分からない。少しでも早く見慣れるようにしたいと思います」。調整のペースとともに、長野の広島化も進んでいく。【前原淳】

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巨人時代の長野は、坂本勇とともに「サカチョー」を結成した。

長野が1年目のオフだった11年からは、ともに「阿部組」でグアム自主トレに参加。長野が4歳年上だが、坂本勇の野球に対する姿勢をリスペクトし、坂本勇は「チョーさん」と慕って、公私ともに交流が深かった。

象徴的なのは、最多安打のタイトル争いを繰り広げた12年シーズン。長野が3安打差の首位で最終戦に臨み、坂本勇が3安打でタイトルを分け合った。3安打目を放った瞬間、ベンチから満面の笑みで拍手する長野の姿に坂本勇が「それが一番うれしかった」と感動し、塁上で感極まった。

闘志を内に秘め、グラウンドでの結果、背中でチームをけん引するスタイルも同じ。「サカチョー」は老若男女を問わず、ファンから愛されたコンビだった。

★広島長野のキャンプ初日ドキュメント

8時29分 背番号5のユニホームを手に石原と日南市内の宿舎を出発。

8時33分 球場入り。

9時20分 歓迎式に参加。長野効果でカメラ約20台、約100人の報道陣が集まる。観衆1600人は昨年初日よりも300人増。

9時55分 円陣で声出し。「おはようございます。今日からシーズンが始まります。日本一を目指して、みんなでキャンプを乗り越えていきましょう! 野球のこと以外なら何でも答えられると思います」

10時00分 ランニング開始。

12時12分 背番号5披露し、鈴木らとランチ打撃練習開始。ティー打撃60スイング。マシン打撃42スイング。打撃投手(迎打撃コーチ)42スイング。連続ティー打撃20スイング×3。

12時50分 ローテーション打撃に備える選手たちに見守られ、打撃練習終了。

13時00分 昼食。

14時00分 鈴木とランニング。

14時20分 コンディショニング。

14時55分 自主的なティー打撃で151スイング。

15時10分 即席サイン会。ファンの声援に応え、ティー打撃後に約10分間ペンを走らせた。

15時34分 取材対応。「(OBの)新井さんに(ユニホームが)似合っていると言われてうれしかったです」。

16時15分 宿舎へ。