楽天ドラフト3位の引地秀一郎投手(18=倉敷商)が7日、沖縄・久米島2軍キャンプで初のブルペンに入り、首脳陣を驚かせた。石井貴2軍投手コーチ(47)は「松坂大輔級」と期待。高校の先輩で元楽天監督の星野仙一氏(享年70)や、ヤンキース田中将大投手(30)を目標に掲げる最速151キロ右腕が、将来性を存分にアピールした。平石洋介監督(38)も2軍を視察するとともに、1軍キャンプではプロ4年目・村林一輝内野手(21)の居残り練習で打撃投手を務めるなど、若手が飛躍の期待を抱かせた。

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引地が平石監督の前で「星野2世」と称された素質の片りんを披露した。立ち投げで直球のみ31球。キャンプでの環境の変化や、周囲への気疲れなども考慮して、初ブルペンを第2クールからと設定されていただけに「投げられて気持ち良い。生きているって感じました」。188センチ、84キロの躍動感あふれる投球が、解き放たれた。

平石監督は「あれだけ体を使って腕を振れれば十分じゃないですか。良い投げっぷりだった」と賛辞を送った。石井コーチは「松坂大輔級…とまではいかないかもしれないけれど、それに近い雰囲気があった。球の勢いが強いので、将来的な(大投手の)匂いがするね」とニヤリ。松坂のプロ1年目に西武で一緒に投手陣を支えた同コーチだけに説得力がある。小山伸一郎2軍投手コーチ(40)も「球のバラつきはあるが、荒々しさは星野さんのような雰囲気。2年前の藤平(尚真)とは違ったすごさ」と印象を抱いた。

だが、本人は内容に不満顔。「フォームをゆっくりで投げることを意識しすぎて、上と下のバランスがバラバラだった」と冷静に分析した。「今出せる最大のものを出せなくて情けない。良かったのは2、3球くらい。良いボールを8割投げないとダメ。良い球がいくがどうかは投げた瞬間に分かります」。次回ブルペンは明日9日を予定している。

甲子園出場はないが、150キロ超の直球に質の高い変化球を織り交ぜる投球に期待が高まる。新人ながら「田中さんが開幕24連勝したので、25連勝したい」と言い放つ精神的な強さも魅力。「平石監督がキャッチャーの後ろにいたのは分かっていましたよ」。目を輝かせた“闘将魂”は末恐ろしい。【鎌田直秀】