楽天田中和基外野手(24)が右打席のみノーステップ打法を封印している。新人王の変化の理由を探るべく、FA加入の浅村栄斗内野手(28)と競演したロングティーに「潜入」した。

沖縄・久米島キャンプも残り2日となった8日、田中は隣で気持ちよさそうに飛ばす浅村の後方に回った。ゴルフのグリーン上でパターを立ててラインを見るように、トンボを手に昨季リーグ打点王の打撃を注視。「踏み出す足の角度が飛球方向に真っすぐなんですよ。僕は飛ばそうと力を入れると、どうしても引っ張りにいって(足を開き気味に踏み出して)しまう」。浅村が使った足場をならしながら、しみじみと言った。

昨季は左の打率2割8分に対し、右は2割2分3厘。「ソフトバンク嘉弥真さん、日本ハム宮西さん…。打席数が少ない右の方が、癖のある投手との対戦が圧倒的に多い。何も考えず、自信を持って入れるように」。左足を上げてタイミングを取るさまは、どことなく浅村に似ている。「チームが同じになってお世辞で言うわけじゃないですけど…」と笑いつつ「大学時代、一番好きな右打者が浅村さん。似ていると言われるのであれば、当時の形に戻したから」。前クールは右強化のため浅村と同じ班で打撃練習も回り、打つ以外の時間を観察に費やした。

2人とともに柵越えのボールを拾い集めにいってみると、浅村は自分が一番飛ばしたと思われる地点を確認してつぶやいた。「(推定飛距離)130メートルくらいかな。隣で(田中が)飛ばすから、力が入りましたよ」。自ら「課題」と言い切る右打席も、浅村を刺激するポテンシャルを秘めている。【亀山泰宏】