日本ハムのドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)が11日、沖縄・国頭(くにがみ)の2軍キャンプ“初登板”した。いきなり4連続で制球を乱したが、元祖甲子園アイドルの荒木大輔2軍監督(54)ら首脳陣からは直球の強さを高く評価された。14日にブルペン投球を行い、16日のプロ初紅白戦で実戦での強さをアピールする。

吉田が全25球に力を込めた。少し力み過ぎた。甲子園を沸かせた150キロ超の直球には、まだまだ遠い。スライダーなど変化球も交えたが、半数以上の14球がストライクゾーンを外れた。「右バッターの外に投げられればOKだった。ボールは多かったけれど、良いフォームでは投げられたと思う」と現段階での出来には納得だった。

同期でドラフト2位の野村佑希内野手(18=花咲徳栄)が相手だった。9スイング中、安打性の当たりは右前に飛んだ1本のみ。詰まらせてファウルになる場面も多かった。「もっとバチバチやる感じかなと思いましたけれど、軽いあいさつみたいな感じでしたね」。ちゃめっ気たっぷりに笑った。

荒木2軍監督も「もともとコントロールは良いと思っていないですよ」と想定内を強調した。「強いボールもあれだけ投げられていたし、特徴は出せていたから十分です」と及第点も与えた。カーブは抜けて内角にいったが、外れた直球はすべて外。力のない球が1球もなかったことを評価した。

キャンプ初ブルペンで捕手を座らせて38球を投げた2日以降、日々状態を上げてきた。ブルペン横に設置された「輝星シート」も休日には満席。前日10日にはカットボールなど、すべての変化球を織り交ぜて4度目も上々で臨んだ打撃投手。打者に合わせる速いテンポや防御ネットなど、慣れない環境を考慮すれば、課題が見えたことも含めて大きなステップとなった。

付きっきりで目を光らせる加藤武治2軍投手コーチ(40)も精神的、肉体的な強さに賛辞を送った。「ユニホームを着て、気疲れもあるでしょうから、第2クール最初のほうは疲れを感じたけれど、表情もスッキリして立派になってきた」。体力面でもすでに2軍上位級と認め、あとは技術レベルの向上を期待した。

14日には再びブルペンに入り、16日の1軍紅白戦に登板する予定だ。荒木監督は「吉田よりも、天気予報のほうが心配。中止になったら栗山(英樹)監督が残念がるだろうね」。2軍スタートとはなったが、1軍指揮官もプロでの基盤形成を楽しみに待っている。【鎌田直秀】