4番はお任せ! 広島鈴木誠也外野手(24)が18日、今季初の対外試合となった韓国・KIAとの練習試合でチーム1号を放った。4番右翼で先発。1回1死一、二塁で、右投手の直球を右翼席に運んだ。自己評価は辛口だったが、東出打撃コーチから全幅の信頼を寄せられた。今年もカープは、鈴木中心の打線でセ・リーグ4連覇、そして35年ぶりの日本一を狙う。

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チーム1号を振り返る鈴木は、まるで満足していなかった。「とくにいいって感じじゃなかった。打席的にもあんまりいい内容じゃなかったんで」。右腕ハン・スンヒョクの143キロの真ん中内寄りのストレートを右翼席に持っていったが、それでも自らを許さない。これが鈴木の厳しさであり、すごみだった。

初回1死一塁から3番長野という場面で、ネクストサークルの鈴木は昨年との違いを感じた。「(昨年の3番)丸さんは初球からバンバン振るバッターではなかったので、心の準備としては、どうせまだ振らないだろうなという感じでやっていた」。だが、長野は初球を鮮やかに中前打。これまでと違うタイミングで打席に入った鈴木は、主導権を握れないままカウント2-2と追い込まれた。技術とパワーで1発を放っても、その過程が不満だった。

それでも、課題はしっかりと確認した。「長野さんのスタイルというのを頭に入れて、準備もなるべく早くできるようにやっていきたい」。2打席目は心を整えてから打席に入り、きっちり四球を選んだ。左打者の丸と違い、同じ右打者である長野への配球が参考になることもわかった。

東出打撃コーチは「誠也に関しては、けが以外の心配はまったくしていない」と、全幅の信頼を寄せた。さらに「去年の日本シリーズから、もう2ランク上がっている」と絶賛した。

鈴木は昨年のソフトバンクとの日本シリーズで打率4割5分5厘、3本塁打、6打点と打ちまくり、敢闘賞を受賞。それでもなお、高めの速球をしっかり打ち返すというテーマを設定し、打撃強化に取り組んでいる。手術した右足首が万全でなくても誰よりバットを振っている。広島の4番はやはり、この男を置いてほかにいない。【村野森】