昨季限りで引退した中日荒木雅博2軍内野守備走塁コーチの引退試合が行われ、現役時代の背番号2のユニホーム姿で「2番・DH」で先発出場。ファンの大歓声の中、初回1死で回った打席は、三塁ゴロ。一塁ベースを回り終え、ヘルメットを脱いで内外野のファンに頭を下げた。

中日応援団からは「荒木! 荒木!」のコール。一塁側ベンチ前で出迎えた中日ナインと握手をかわし、与田監督には肩をたたいてねぎらわれた。ロッテ側も、ベンチの前に選手が並んで拍手を送った。

この日、1番でもなく守り慣れた二塁でもなく「2番DH」でファンの前に登場したのは、荒木コーチならではの選手への配慮。「大事な競争の時期。じゃまをしてはいけない」と、後輩たちへの思いを優先させた。プロ生活で初の指名打者に応えるため、試合前には「マシンを10球ほど打ってきました。でもヒットを打ってしまうと、キャンプやらなくても大丈夫、と(後輩に)思わせてはいけないので(凡打は)わざとです」と、これもまた気配りの人らしかった。

昨年10月13日阪神戦で最後の勇姿を見せ、この日もファンの声援に送られた。「幸せです」と感謝の思いはつきなかった。