中日ドラフト1位の根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)が12日、教育リーグのソフトバンク戦(ナゴヤ球場)でプロ初安打を放った。

「6番遊撃」でスタメン出場。実戦3試合7打席目の6回第3打席、100勝右腕の中田賢一投手(36)から二塁内野安打を決めた。スーパールーキーの地元デビュー戦とあって、ナゴヤ球場には教育リーグでは異例の1383人が詰めかけるなど大フィーバー。根尾劇場がいよいよ本格開演だ。

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仕留めた獲物は中田の143キロの真っすぐだった。根尾の強烈な打球が、マウンドの右付近を強襲した。スアレスに2打席凡退して迎えた6回の第3打席。「セーフになってくれ!」。快足を飛ばして一塁を駆け抜けると、塁審の両手が横に広がった。二塁内野安打。実戦3試合7打席目で、待望のプロ初安打が生まれた。だが本人は表情を崩さず、冷静に振り返った。

根尾 しっかりセンターにはじき返せた。(初安打も)あまり(心は)変わらない。1軍の投手がいい状態で投げているとは考えにくい。上のレベルで活躍されている方の雰囲気を感じられたのはいい経験です。

9日の実戦デビューから阪神メッセンジャー、ガルシア、ドリス、そしてこの日はスアレスと軒並み一線級と対戦。中田もかつて中日に所属し、ジュニアドラゴンズ時代の根尾がテレビで見ていたヒーローの100勝右腕だった。初安打以上に、経験を積んだことに大きな収穫を感じていた。

2軍の本拠地ナゴヤ球場でのお披露目試合。教育リーグでは異例の1383人が見守る中、「6番遊撃」で出場した。だが0-3で完封負けした結果も踏まえ、表情は引き締まった。

根尾 勝ち試合を望まれているファンの方で埋め尽くされていた。次の試合は勝ちたいと思った。走者のいる場面でチームに価値のあるヒットを打ちたい。

反省も口をついた。プロ初安打で出塁後、滝野が右前打で続いた。根尾はいったん二塁を蹴ったが急停止。右翼手の動きを見て再び走りだし、三塁へ滑り込んだ。「ギリギリの接戦の中で、ああいうプレーは消していかないといけない」。

ともに甲子園を沸かせた日本ハムのドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)もこの日、実戦デビューで結果を出した。「刺激になる」とキッパリ言う。小笠原2軍監督は、「今後はイニング数を増やすことも」と、次戦以降のフルイニング出場も示唆。真のスターへ、期待にあふれる根尾劇場の開演だ。【伊東大介】

▽中日荒木2軍内野守備走塁コーチ(根尾の6回の走塁に)「自分で判断しようとするのはいい姿勢だ」

▽ソフトバンク中田(根尾について)「思い切ってバットを振っている。(内野安打も)いい打球が飛んでいった。スアレスの時も、当てに行くことなく振れていた。いい打者ですね」

▽中日森野2軍打撃コーチ(根尾のプロ初安打に)「本人にとってプラス。センターラインを意識していたと言ってたしね」

▽中日立石2軍巡回野手コーチ(根尾のプロ初安打に)「あれくらい振れるのは大したものだ。(外国人投手が続いたことも含め)いい経験をさせてもらっている」

<根尾初安打まで>

◆1月23日 合同自主トレで右ふくらはぎの軽い肉離れを起こす

◆1月24日 キャンプの1軍から2軍読谷組への移動が発表

◆1月29日 故障後初、スパイクを履いてノックを受ける

◆2月2日 マシン打撃再開

◆2月10日 屋外フリー打撃再開

◆2月21日 ベースランニング再開

◆2月25日 リハビリメニューを終え、2軍通常練習に合流

◆2月27日 初の現役投手・阿知羅を相手にフリー打撃(19スイングで安打性2本)

◆2月28日 2軍キャンプ打ち上げ「50点です」

◆3月5日 教育リーグ、オリックス3連戦(オセアン)を残留したが、1軍練習に初参加。与田監督ら1軍首脳の前で、フリー打撃、シートノックに挑戦

◆3月9日 前日練習後に2軍本隊に合流。教育リーグ阪神戦(鳴尾浜)に6番指名打者で先発実戦初出場。メッセンジャー相手に2打席、1打数1三振1四球でデビュー

◆3月10日 同阪神戦(鳴尾浜)に6番・遊撃で先発出場。ガルシア、ドリスと対戦、2打席とも左飛に終わる。守備機会では1併殺を完成

◆3月12日 地元ナゴヤ球場で初実戦。6番遊撃でスタメン。先発スアレスには2打数無安打だったが、2番手中田から実戦7打席目で二塁への内野安打。プロ初安打を決めた。