近本の開幕スタメン決定的!! 阪神矢野燿大監督(50)が18日、ドラフト1位近本光司外野手(24=大阪ガス)を「開幕2番」で起用する方針を明かした。オープン戦は打率3割、5盗塁と奮闘。指揮官は昨秋のドラフト指名当初から2番プランを温めてきたが、結果でもぎ取った格好だ。03年リーグ優勝に貢献した「2番赤星」が理想型。打って走れる新人をポイントゲッター3番糸井の前に置き、破壊力アップをもくろむ。

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10日後に迫る開幕を前に矢野阪神の攻撃パターンが決まった。開幕スタメンを目指してきたドラ1近本に“サクラサク”朗報だ。オープン戦も今日19日のDeNA戦(横浜)を含めて残り6試合。上位打線の構想を問われた矢野監督は自ら切り出した。

「固定できるかなって、見えてきたなというのは、近本2番というのは俺のなかでは現状、そう思っている」

近本は16年新人王の高山や17年20本塁打の中谷らと2月の沖縄・宜野座キャンプから中堅のレギュラー争いを繰り広げるなか奮戦。8試合連続の2番先発で期待に応えてきた。10日巨人戦は5回1死一塁で一ゴロも快足で併殺をまぬがれると二盗に成功。クリーンアップを迎える局面で、自慢の脚力を生かして2死一塁から2死二塁の好機を築いた。17日西武戦では3回無死一、二塁で三塁線に絶妙なセーフティーバントを決め、猛攻の端緒を開いた。

指揮官は捕手目線で、近本の機動力を買う。「2番をある程度固定しているほうが、俺は考えやすい。俺がしたい、目指す野球は、2番が大事に思っている部分があって。いまのメンバーで考えたなかでは近本が一番、近い」と続けた。韋駄天(いだてん)なら犠打をせずに強攻しても併殺打が少なく、盗塁で得点圏に進めるし、次打者への配球も速球系が増えるなど、数多くの利点があるからだ。

いかに得点力をアップさせるか。矢野監督が思い描くのは、3番糸井とのコンビだ。「現状は嘉男の前に走者を置いているのが俺ら捕手にとって嫌」と説明した。昨年10月中旬、就任会見で明かした手本は優勝した03年型打線だ。「理想は点を取って勝ちたい」。2番赤星と3番金本が得点源になった。同年、打率3割1分2厘、61盗塁の赤星憲広氏は、くしくも、近本が目標に掲げる名選手だ。

矢野監督はドラフト翌日の指名あいさつ後も「自分の理想だけど2番は左がいい。足の速いヤツがいい。(近本は)そういう部分に合う気がする」と話していた。指揮官の腹案通りに躍動し「2番中堅」は決定的。第1関門をクリアし、本番に向かう。【酒井俊作】

 

▼近本が開幕戦に2番で先発出場すれば、阪神のドラフト入団では92年久慈照嘉が以来27年ぶり2人目。球界では昨年、ロッテ藤岡裕大とオリックス山足達也の2人が開幕戦でスタメン2番を勝ち取っている。なお現阪神の福留孝介は、中日に入団した99年の開幕戦に、2番打者として先発しデビューを果たした。

 

◆03年阪神上位打線 1番今岡、2番赤星、3番金本が絶妙のバランスで機能した。FA入団した金本は「調子の悪い時に、進塁打などでゲームメークできる面白みがある」と3番での出場を希望。2番に入った赤星は、続く金本が打席で走れるタイミングを尊重し、スタートが遅ければファウルで逃げるなど手助けを生かし盗塁を量産。61盗塁と、前年の26盗塁から倍増以上の数字を残し、3年連続のタイトルを獲得した。また1番に入った今岡は、3割4分の高打率で首位打者を獲得。2番赤星はチーム最多の24犠打を転がし、金本につなぐ役割も演じた。