オリックス杉本裕太郎外野手(27)が「たぶん人生で初めて」のサヨナラ本塁打を放った。

2-2の9回2死走者なし。西村監督から「ここは狙ってこい」と代打で送り出され、フルカウントから阪神飯田の低めスライダーを左翼へ運んだ。

「最近ずっと打ってなくて“確変”が終わったかなと。スタメンで出たときに結果を出したいと思いすぎて力んでしまい、昨日も自分の打撃ができなかった。今日がラストチャンス、引退試合というくらいの思いでいった」

12日西武戦で本塁打を放ったのを最後に5試合12打席連続で安打が出なかった。そんな焦りは前夜、マリナーズ・イチロー外野手の引退会見を午前1時半まで食い入って見ているうちに薄れた。

「3年間、自主トレ期間に誘ってもらって教わったことがあった。小学1年から野球して最初にもらった背番号が51で、ずっと憧れていたスーパースター。ああいう活躍ができたら、と昨日見ていました」

昨年1月まで3年連続でイチローの自主トレに合流させてもらい、打撃練習で軽々とスタンドまで運ぶ姿を目に焼き付けた。「練習でホームランを打っているのを見て、僕も遠くに飛ばすようにした」。昨年記録した、球団史上初の2試合連続満塁弾もイチローの存在とは切り離せない。今年はけがの影響で自主トレをともにできなかったが、テレビ越しにイチローの姿に刺激を受け、開幕を前にして自信回復の1発が生まれた。西村監督も「ナイスバッティング。ここ最近は調子を落としていたが、素晴らしい。代打の一振りがあるのが魅力です」と賛辞を惜しまない。

愛称はラオウ。たっぷりの破壊力を持つ右の長距離砲がここから上昇カーブを描いていく。