<楽天3-2日本ハム>◇3日◇楽天生命パーク

楽天が強い。広島から移籍した福井優也投手(31)が、5個の四死球を与えながらも5回4安打無失点の粘投。逆転された直後の8回には、ゼラス・ウィーラー内野手(32)が4号2ランを放ち再逆転した。投打のかみ合った4連勝の裏に潜む、平石洋介監督(38)のマネジメント術を深掘りする。

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平石監督の硬軟自在の引き出しが、4連勝と2カード連続の勝ち越しを呼び込んだ。

(1)寛容 移籍後初先発の福井は3回を除いて毎回走者を背負うも、必死にゼロを並べた。平石監督は「無駄な四球はなくせと言われるけど、攻めて攻めての四球は福井の『持ち味』でもある」と見ていた。福井は「これまで『四球は減らせ』としか言われてこなかった。本当はダメだと自分でも分かってる。でも、監督が『持ち味』と言ってくれることで、気持ちが『陰』に入らず、前向きに課題を直視できる」と感謝する。メンタル面での後押しが、ピンチでの粘りを生む。

(2)厳格 例年スロースターターのウィーラーが、開幕3連戦で打率4割6分2厘、3本塁打、8打点と打ちまくり、この日も決勝弾を含む全3得点をたたき出した。昨季終了後に「春先から体を作ってきてくれ。春、しっかりやらないかんぞ」と伝えていた。助っ人は第2次キャンプ地の金武町で合流するパターンが多かったが、今季は久米島の初日から参加させた。「キャンプイン時点で体が締まっていた。いい準備をしてきてくれた。ジー(ウィーラー)からも危機感を感じる」と目を細める。

(3)貫徹 殊勲のウィーラーを敬礼ポーズで出迎えるなど、盛り上がるベンチにあって、ひときわアクションが大きい。「監督はポーカーフェースで構えるイメージがあるかもしれないけど…」と前置きした上で「僕は喜ぶ時は思いきり喜ぶし、褒める時は褒める。現役時代からこのスタイル。監督になっても、ありのままでいこうと決めた。プラスの感情を我慢する必要はないと思う」と言った。

自分を客観視している。「最初は喜怒哀楽をそのまま出そうとも思っていた。マイナスな感情をどう出すかは少し考えないといけない」。心根にある優しさの手綱を、引いたり緩めたりしながらチームを前に進めようと考えている。

青年監督が多彩な色を描き、楽天が開幕から踊る。【亀山泰宏】