楽天ゼラス・ウィーラー内野手(32)の勢いが止まらない。

6回に先制適時打を放つと、逆転を許した直後の8回には左越え4号2ランで試合をひっくり返した。本塁打と打点でリーグトップの数字をマークし、4連勝&2カード連続勝ち越しと好調なチームをバットでけん引。例年スロースターターぶりを発揮していた春先から打ちまくる。

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直前のイニングで「勝利の方程式」ハーマンが逆転を許したショックを、ウィーラーがひと振りでかき消した。8回2死から4番島内が粘って四球を選んだ。「自分で終わるわけにはいかない。必ず後ろにつなぐ」。高校球児のようにけなげな心で日本ハム浦野のカーブを打ち砕いた。

11打点はリーグ単独トップに浮上。4本塁打はロッテ・レアードと並ぶ同トップタイ、4割ジャストの打率でも4位につける。過去4年、開幕から間もない3、4月の月間成績は散々だった。

15年 打率1割7分2厘、1本塁打、3打点

16年 打率2割8分4厘、2本塁打、19打点

17年 打率1割9分1厘、1本塁打、6打点

18年 打率2割3分2厘、2本塁打、5打点

昨季終了後、平石監督に「春先から体を作ってきてくれ」と課題を出されていた。「自分が期待されているんだと思って、ちゃんと準備していた」。意気に感じた助っ人は、例年以上のキレを感じさせるボディーでキャンプイン。圧倒的な数字で効果を証明し「初年度から本当に優しく、信頼関係は強い。これ以上いい人は、いないんじゃないか」と指揮官へのリスペクトを口にした。

1軍でともに戦うブラッシュ、ハーマン、宋家豪だけでなく、2軍ではセットアッパー候補として獲得したブセニッツも昇格の時をうかがう。2年契約の最終年というタイミングに加え、激しい外国人4枠を巡る争い。「数字は何も考えていない。一生懸命プレーして、チームが勝つことだけを考えている」。好調楽天の中心には、間違いなくこの男がいる。【亀山泰宏】