優貴、初勝利おめでとう。東京ドームのスタンドで巨人高橋優貴投手(22)の母佳子さんが、息子の晴れ姿に目頭を熱くした。父幸司さん、弟俊士(すぐる)くんとともに勝利を見届けた。デビュー前々日の2日に息子の部屋にこっそり入った。親子の思い出を振り返りながら、万感のメッセージを送った。

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これまで悔しい思いもいっぱいしてきたし、勝った瞬間はいろんなことを思い出したよ。本当によかったね。

小さい頃から見るのも、やるのも、遊ぶのも野球だったね。漫画、ゲーム、小説も野球だったね。先日、部屋に行ってみましたけど本棚に立てかけてある本はみんな野球。小説なら「バッテリー」漫画なら「ダイヤのエース」「メジャー」「大きく振りかぶって」、雑誌なら「ベースボールクリニック」「ホームラン」。私にとっては1人目の子どもだから当たり前だと思っていたけど、やっぱり「野球オタク」だなと思いました。

何度も諦めるんじゃないかと思ったけど、自分で立ち上がって、はい上がってきたね。高校時代に甲子園に行けなかった時、八戸に行っても全国大会に1度も行けなかった。でも「また野球がやりたい」と言ってきた。高校野球も好きで小学生の時は、ひたちなか市民球場や水戸市民球場に予選をよく見に行ったね。自分が甲子園に行けなかった時はテレビでも甲子園も見なかった。いつも優しいけど、やっぱり男の子なんだなと思ったよ。

「つらいこと、悲しいことがあっても、自分の口から食べたものでしか体はできないからね」と口うるさく言ってきた。高級食材を食べさせてあげることはできないけど、食べ物には気を使いなさいと。中学2年の時に「なす」で大げんかしたのを覚えていますか? 炒め物を出したのに「絶対に食べない」って意地を張るから「ふざけるな!」って怒鳴ったよね。今でもなすは嫌いみたいですが、寮ではしっかり食べていると聞いて安心しました。

「巨人の高橋選手」は学生時代と違って、はるかかなたではないけど、少し距離が離れた感じがするかな。毎日、ニュースで活躍を見ていますよ。プロ入り後は連絡をしてくることもなくなったけど、親に連絡が来るようじゃまだまだだと思うし、これが通常かもしれないね。

家族の誕生日は電話で必ず「おめでとう」と言ってくれたね。自分で立ち上がり諦めずにここまでやってきたことは尊敬に値します。だから、これから先も「今そこにいることは自分1人の力じゃない」ということは、どんな立場になっても忘れないでほしい。私たち家族は見守ることしかできないけど、どこでも、どんな時でも一番に応援しているからね。

まだ始まったばかりだけど、この初勝利を自信にして、勝負の世界で生きると自分で決めたのだから、勝負に徹して、これからも頑張ってね。