ソフトバンクが平成最後のヤフオクドームを劇的勝利で締めた。ヒーローは2月に腰の手術を受け、復帰2戦目だった明石健志内野手(33)。延長10回無死二、三塁で右翼ポール直撃のサヨナラ3ラン。西武時代の秋山幸二氏が1986年(昭61)日本シリーズで披露した昭和の名場面のような、側転からのバック宙で鮮やかにホームインした。03年ドラフト入団の最後のダイエー戦士が歴史を彩った。

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平成の野球史に残るような名場面が生まれた。9回まで0-0の投手戦にけりをつけたのは、生え抜き最後のダイエー戦士、明石だった。10回無死二、三塁。右翼ポールに直撃する1号サヨナラ3ラン。派手なガッツポーズで喜ぶと、側転からのバック宙で鮮やかにホームインした。「プロに入る前から、秋山さんのバック宙に憧れていたので。まさか平成最後にできるとは」。前ソフトバンク監督、秋山幸二氏の現役時代の代名詞だったバック宙を再現。平成最後のヤフオクドームを劇的勝利で彩った。

明石はここ数年、腰痛に悩まされ続けてきた。今年2月に手術を決断。「局部麻酔なのでずっと手術は見ていた。この神経を焼いたら下半身が動かなくなる、とか考えながら見ていた」。想定より早く、今月2日に実戦復帰。前日24日に1軍昇格したばかりだった。「去年1年の腰の状態より、手術して2カ月の今の方が全然いい。腰が抜けるような感じがあって、抜けたら動けなかった。でも今年はそれが全然ない」。まだ2軍戦10試合、1軍では2試合目。実戦感覚に不安はあったが、体は充実していた。「プレーできるなら早めに上でやりたかった」。本職ではない外野も守れるよう準備し、プロ16年目で初のサヨナラ本塁打。故障者続出のチームにとって救世主となった。

西武、ダイエーで秋山氏の同僚で、この日の明石と両者のバック宙を目の当たりにした工藤監督も、平成最後の本拠地勝利にこだわった。両チーム無得点の9回途中で、好投を続けていた大竹を諦め継投。10回無死一塁では内川にエンドランを指示した。作戦が的中し、サヨナラ劇につながった。「こういう勝ち方はチームに勢いが付く。次のゲームにつながる。(バック宙は)明石くんの方がバネがあったね(笑い)」。首位楽天とは0・5ゲーム差に迫った。令和最初の王者へ向け、勢いをもたらす1勝になった。【山本大地】