DeNAが連敗を「10」で止めた。昭和生まれの野手最年長・石川雄洋内野手(32)が決勝の1号2ランを含む3安打2打点と大暴れ。新時代の幕開けを前に、長く暗いトンネルからようやく抜け出した。

大和の適時打で同点とした8回2死一塁、場内のざわめきも収まらない中で、巨人宮国の初球、真ん中に入った136キロ直球を完璧に捉えた。ライナーで右翼席ギリギリに飛び込む勝ち越し弾。球場全体の1割ほどのDeNAファンの歓声が、G党の悲鳴を上回った。「みんなつないでくれたので、自分もチャンスメークするつもりで打席に入った。ちょっと出来すぎですね」。中畑前監督時代の12連敗を含め、酸いも甘いも知るかつてのキャプテンが、今季1軍初昇格で大仕事。「若い子の話が分からなくなってきてます。顔と名前が覚えられない」と笑う昭和61年生まれが、平成の最後に輝いた。

ラミレス監督の打った手も決まった。満足げな表情で「(石川は)状態がいいと聞いていた。巨人山口と長い間、一緒にやってきたので、モチベーション高くやってくれると思ったよ」。16年までDeNAに所属した31歳右腕への対抗意識を考慮した用兵がズバリ的中。同じく山口との相性を期待して抜てきした嶺井も2安打1打点。1回に巨人坂本勇の二盗も阻止し、攻守で機能した扇の要を指揮官も「彼のキャリアで1番のスローイングじゃないかな。あれで『今日はイケる』という勢いをもたらしてくれた」とたたえた。

ベテランと若手がかみ合いだしたDeNA。長い悪夢から、しっかりと目を覚ました。【鈴木正章】