阪神の梅野隆太郎捕手(27)が令和元年を常勝軍団への分岐点と捉えた。新元号の典拠となった万葉集の一節「梅花の宴」の舞台となった福岡県太宰府市近く、同那珂川市出身で、名前に「梅」が入る縁ある男が、新時代でチームをさらに引っ張り、勝ちにこだわる思いを語った。【取材=真柴健】

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ペンのふたを開けると、梅野はピタッと動きを止めた。「何がいいかな? 」。少し考えて、ペンをすらすらと走らせる。新元号を迎えるにあたり、選んだ文字は「常勝」だった。

「チームが今後、常に勝つことで(順位が)上がるようにね。個人としてもいろんな意味で使える言葉だと思う。キャッチャーとしても『勝つ』ことにこだわって、これからもやっていきたい」

梅野は福岡県出身。令和は約1300年前に福岡県の太宰府天満宮で行われた「梅花の宴」を記した万葉集の歌の序文が典拠とされている。奇遇にも「福岡」と「梅」が共通点。新時代のキーマンへの期待が高まる。31年続いた平成から時代が移り、梅野自身も決意を新たにしたことがある。

「自分自身のやるべきことは、常に変わらないようで絶対に変わってくる。年も重ねていけば責任もあるし、チームを背負う気持ちも年々強くなる。優勝したいという気持ちもそう」

バッテリーはコミュニケーションが第一。投手と意思疎通を図るのはいつの時代も一緒だ。サインを出す捕手は指1本で試合を左右するポジションでもある。 「このポジションは苦しいこともある中で、勝つ喜びは特別なものがある。その意味も込めて、自分の中でも良い分岐点になればいい」

勝つために全力を尽くす。梅野が「常勝思考」で、令和も虎を引っ張っていく。