阪神秋山拓巳投手(28)が、平成最後のマウンドで完全復活した。7回をわずか3安打無失点。変化球を主体とした投球で、広島打線に的を絞らせなかった。

「平成最後の日でナイターはうちだけ。名前が残るな、とずっと思っていました。それをいいふうに捉えて迎えられたので、いいピッチングにつながったかなと思います。平成最後に勝てて良かったです」

復帰初戦となった4月11日のDeNA戦は、6回9安打5失点で敗戦。この日は7回に唯一の四球で2死一、二塁を招いたピンチで、代打西川を二ゴロに仕留めるなど安定感を示した。昨年6月7日のオリックス戦以来の白星で、願い通り平成最後の勝利投手。「平成」と口にするたびに笑みがこぼれた。

悔しい1年だった。17年に12勝を挙げながらも、昨季は5勝にとどまり、10月に右膝のクリーニング手術を受けた。取材を受けるたび「開幕ローテを目指す」と力強く口にしてきたが、近い関係者には「5月ごろになるかもしれない」ともらしたこともあった。着実にリハビリを続けたからこそ今がある。寒い12月も何度もブルペン入り。キャンプは2軍スタートで最終日には100球近くを投げ込んだ。実戦では1イニングずつ増やし、後退することはなかった。想定よりも早く、平成最後の日に間に合わせた。

「しっかりここからローテーションに入れたら。多少はそういう姿を見せられた。まだまだ上がってくると思いますし、練習していけたらと思います」。矢野監督も「前回よりも球も走ってたし、キレもあった。安心できる投球。もちろんまだ行けたのもあったけど、次につながる形で終わっておくという、ね」と期待。10年目の右腕が、令和で勝利を積み重ねる。【磯綾乃】