原口おかえり~! 大腸がんから再起を期す目指す阪神原口文仁捕手(27)が8日、ウエスタン・リーグの中日戦(鳴尾浜)で実戦復帰した。

8回に代打で出場。持ち味のフルスイングで大きな右飛を放ち、復活を印象づけた。「生きてることがすごくありがたい。野球ができるのも幸せなこと」。心新たに、1軍復帰を目指して奮闘を続ける。

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野球ができる喜びをフルスイングに込めた。原口が8回1死、伊藤隼の代打で途中出場。1ボールから伊藤準の144キロ直球を鋭く振り抜いた。打球は大きく舞い上がり、右翼フェンス際まで飛んでいった。藤井に好捕されて右飛となったが、湧き起こった大きな拍手が背番号94を包んだ。

原口 いつもと変わらない気持ちで、できたかなと思います。これからどんどん出場機会を増やして、また1軍の戦力になるために結果を出して、やっていきたいと思っています。

昨年10月8日の中日戦以来、207日ぶりの実戦復帰を祝うようにチームは2-1でサヨナラ勝ち。試合後、平田2軍監督から促され、マイクパフォーマンスを行った。「野球はやっぱり楽しいですねえ。最高です!」。気持ちがこもった言葉に、スタンドから「おかえり!」の声も飛んだ。

原口 本当に楽しかったですね、久しぶりに。こういう気持ちをしっかり、一生持ってやれるように。きつい時も必ずあると思うんですけど、この気持ちを大切に、今後も頑張っていきたいと思います。

昨年末に人間ドックを受診し、まさかの大腸がんと診断された。だが「プロ野球選手という立場で、このような病気になったことは自分の使命」と受け止め、前だけを見つめてきた。1月末に手術を受け、3月上旬に2軍に合流。前日7日には全体練習にも復帰し、ついにこの日を迎えた。

原口 つらい気持ちというのはなかったですね。自分の中で復帰のイメージはすごく出来てたので、時期的にも思い描いていた通りに進んでいるので、うまくいってる感じですね。

原口の公式ツイッターのフォロワーは3万7000人を超え、たくさんの応援コメントが寄せられている。多くの支えを感じるからこそ決意することがある。

原口 生きてるってことがすごくありがたいことだなって、すごく実感できた。プラス、また日本のプロ野球のNPBで野球ができてるのは、すごく幸せなこと。もう自分のためにというのは置いといて、みんなのために野球に取り組んでいきたいと思ってます。

病気と戦う人たち、そして応援してくれる人たちのために。1軍を目指す姿が、みんなの希望になる。【磯綾乃】

▽阪神谷本修球団副社長(原口について)「いい打球でしたね。思ったよりも早く戻ってきた。本人の努力のたまものだと思います。無理のない範囲で、早く1軍に戻ってきてほしいですね」