ヤクルトの若武者が、チームの窮地を救った。今季3度目の5番に座った村上宗隆内野手(19)が4回、左翼へ貴重な先制10号ソロを放った。

中学生の頃に憧れた西武森以来となる、高卒2年目での2ケタ本塁打に到達した。投げてはベテラン石川雅規投手(39)がプロ入りから18年連続となる今季初勝利。青木、山田哲が離脱する中、年の差20歳コンビが躍動し、チームは前夜の大敗から巻き返した。

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勝利への思い、チームへの思いを乗せた打球をファンの元へ届けた。村上は4回1死、巨人先発メルセデスの2球目、139キロ高めの直球を捉え、緑に染まった左翼席へ運んだ。チーム38試合目での10号。「2ケタは特に意識していないけど、今日勝てたことが大事なこと。うれしく思う。なんとか石川さんに勝ちをつけたかったし、チーム一丸となっての勝利でものすごくうれしい」と喜んだ。

暗雲が垂れこめたチーム状況を、一振りで変えた。ケガの坂口、バレンティンに続いて、体調不良で青木が欠場。山田哲も途中交代した。開幕スタメンの1~4番を欠く緊急事態だが、ベンチではコーチ陣から「ピンチじゃないぞ、チャンスだぞ」の声が響いた。前日には今季ワースト19失点で大敗。それでも村上の気持ちは「負けは負けで、しょうがない」と切り替わっていた。5番に入った今季2試合は8打数無安打も、今度はクリーンアップの役割を果たした。「ずっとスタメンで使っていただいている立場。なんとか結果を残したいと思っている。少しずつ、チームの力になっていることはうれしい」。

高卒2年目での2ケタ本塁打は、中学生時代に「甲子園のスーパースター」と憧れていた西武森の記録に肩を並べた。高校まではポジションも同じ捕手。「まだ中学生で、何がすごいのか分からなかったけど、森さんは打ちまくっていた」。自身は甲子園は1年夏の1度だけで、思うような結果は残せなかった。それでもプロ2年目で先輩に追いついた“燕のゴジラ”。「僕の役割を果たしていきたい」とさらに歴史を塗り替える。【保坂恭子】