楽天美馬学投手(32)が待望の勝ち星を手にした。オリックス相手に変化球で丹念にコーナーを突いて6回6安打2失点と粘り、4月20日以来の今季3勝目。

岸離脱に伴い“表ローテ”のカード頭を任されてきた右腕が浮上のきっかけをつかみ、25日の同戦で復帰する大黒柱に白星でバトンをつないだ。

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美馬が喜びを爆発させた。「めちゃくちゃうれしいです!」。約1カ月前にオリックス相手に勝って以降の4試合は5失点、4失点、6失点、6失点。「大量失点の流れをストップできた」と胸をなで下ろした。シーズンでは初コンビとなる22歳の堀内が「真っすぐに対して振ってくる打者が多い」と、大胆に変化球の配分を増やしてリード。丹念にコーナーを突き、球数は6回で99球とかさんでも無四球。犠飛2本による2失点で踏みとどまった。

エース則本昂が右肘を手術し、岸も開幕戦で左太もも裏に違和感を訴えて離脱。自らも右肘のクリーニング手術明けながらローテの柱として奮闘するも、勝ち星に見放されてきた。口にしたのは、25日のオリックス戦で復帰することが決まった大黒柱へのリスペクトと感謝。「岸さんが帰ってきてくれて、誰よりも僕が安心したと思う。いなくなってから(自分が)全然ダメで、勝てなかった。今日も最後までいてくれたし、うれしいし、心強い」と繰り返した。

もちろん、待っていたのは美馬だけではない。試合終盤、25日の予告先発として「岸孝之」の名前がコールされた瞬間、2万8150人と満員の本拠地のボルテージは最高潮に達した。「投げる以上は責任を持って、いけるところまでいく」。復帰戦となる岸も、思いを受け止めるように覚悟を示した。先発投手陣の防御率は12球団ワーストと苦しむ中、救世主として期待される大黒柱。美馬の粘りが、舞台を整えた。【亀山泰宏】