<巨人5-7広島>◇25日◇東京ドーム

野球は“間”があるスポーツ。試合展開を考え、相手の思考を読む。考える時間を有効活用したチームが勝利に近づいていく競技だと思っている。巨人バッテリーが「考える」や「読む」といった思考を放棄したような試合になった。

序盤の2回、無死二塁のピンチ。まず考えるのは「失点しないためにどうするか」だろう。5番の西川は初球のスライダーに対し、セーフティーバントの構えを仕掛けてから見逃してボール。当然、走者を三塁に進めたいのだろう。2球目は外角直球を見逃してストライク。引っ張って進塁打を狙いにくい球だった。3球目は内角高めの直球をファウル。強引にでも引っ張って、転がしてやろうというスイングだった。追い込んだこともあり、ここまで相手の狙いがハッキリすれば、あとは引っ張りにくい球を投げるだけでよかった。

4球目はビックリした。「引っ張ってください」と言わんばかりの甘いスライダー。一塁への内野安打で、無死一、三塁。次打者の併殺の間に、あっさりと先制点を奪われてしまった。おそらく捕手の小林は外角低めのボールゾーンに投げてほしかったのだろう。しかしメルセデスに、意図は通じていなかった。

これだけだったら小林だけを責められないが、後がひどすぎる。4回1死一、三塁で打者はジョンソンの場面だ。二盗を決められたくないのか、直球を4球続け、みえみえのバスターを決められた。ほかにも「振り逃げ失点」を許すなど散々だった。

ここまで小林とバッテリーを組んできた菅野や山口なら、ミスリードをフォローする経験と力量があるのだろう。しかし外国人選手で経験の浅いメルセデスに、それを補う力はない。落とせない試合が一転、負けるべくして負ける試合になってしまった。【小島信行】