新境地を開いた。楽天石橋良太投手(27)が、オリックス打線を5回3安打1失点に抑えてチームトップタイの3勝目を挙げた。プロ初勝利を含むこれまでの2勝は、いずれも救援登板。

得意のカットボールと平石監督のひと言で磨きをかけたシュートを駆使する横の揺さぶりに加え、カーブで緩急をつけて先発初白星。チームは3カード連続勝ち越しで首位ソフトバンクに0・5ゲーム差と肉薄した。

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プロ初勝利を含む石橋の3勝は、1つのボールと切っても切り離せない。「シュートを思い切って放れるのが大きい」。もともと投げていた球種ではあったが、カットボールに頼る傾向があった。「せっかくいいシュートがある。石橋イコール、シュート。そう意識させるだけでも効果はあるぞ」。平石監督の言葉が進むべき道を照らしてくれた。開幕戦でロッテ・レアードに2球続けたシュートが甘く入って逆転被弾。心が折れなかったのは「ビビったら、使わんぞ」という指揮官のげきがあったからだ。

駒不足もあり、今月5日の西武戦から先発ローテ入りして4試合目。試合前のブルペンで投げる球の強度を上げると、立ち上がりが良くなった。2回に先制ソロを浴びても崩れない。目先を変えるカーブが、速球系に偏りがちだった組み立てのスパイスになった。「堀内が強気にリードしてくれた」。年下ながらドラフト同期の女房役への感謝を口にする。4回のピンチでは最速150キロを計測。腕の振りは、最後まで緩まなかった。

5回を投げ終えると、ベンチで平石監督が隣に腰掛けてねぎらってくれた。3回にオリックス小田を遊ゴロに打ち取るまで13球を要した場面にも言及。「こういう風にしたら、バッターは嫌やぞ」とヒントをもらった。ロングリリーフ要員で開幕を迎え、先発が長いイニングを投げる重要性を感じているだけに、より少ない球数で試合を進める助言が身に染みた。「チームの勝ちにつながって良かった」。昨年7月の支配下復帰後も地道に牙を研ぎ、つかんだ1軍のポジション。覚悟を決めて、打者の懐を攻め続ける。【亀山泰宏】