快記録、でも勝てない…ヤクルトの連敗が11に伸びた。中日戦(神宮)の3回、青木宣親外野手(37)の8号ソロを皮切りに、山田哲人内野手(26)の11号ソロ、ウラディミール・バレンティン外野手(34)の12号ソロと3連発が飛び出した。3人は4月25日の巨人戦(神宮)でも菅野から3連発を記録している。セ・リーグでは初となる「1シーズン2度の同トリオでの3連発」を決めるも、壮絶な打撃戦に屈した。

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勝てない。セ・リーグ初のド派手な記録を打ち立ててもだ。ヤクルトが長いトンネルから抜け出せない。17年7月以来の11連敗。まさかの敗戦に小川監督は「守りきれなかったというところ」と力なく答えた。

勝利の女神はほほえんだ、ハズだった。3回。3者連続の本塁打で猛アプローチを仕掛けた。先陣を切ったのは青木。中日清水の外角球を一息で振り抜いた。ライナーで左中間席に放り込むと、山田哲が続いた。初球の内角の直球をかち上げ、左翼ポール際へとぶち込んだ。

締めはバレンティン。「前の2人の流れに乗って打てたよ」と吸い込まれるように失投がど真ん中に入ってきた。逃さずにバックスクリーンへとたたき込み、ベンチ前で青木とおなじみの「シャキーン」ポーズで決めた。4月25日の巨人戦以来のそろい踏み。同一シーズン同一選手の3連発はリーグ初だった。

それでも砕け散った。先発高梨が大炎上した。5回9失点。自軍の3本塁打を上回る4被弾で女神が逃げた。2回に2ラン、4回に2本のソロを浴び、2点差に迫られた。しかし、5回も続投。1死満塁で同点の2点適時打を許し、なおも1死一、三塁でモヤに勝ち越しの3ランを浴びた。中継ぎ陣は50試合を終えてハフ、マクガフのリーグ最多の25登板を筆頭に、トップ10に5選手が入り、ブルペン陣の負担は大きい。疲労への配慮が小川監督に「結果的に判断を間違えた」と継投の一手を鈍らせた。

9試合ぶりの先制点を挙げるも投手陣が崩壊。投打がかみ合わない中で、光明があるならば19日のDeNA戦以来、6試合ぶりの無失策。青木が掲げる、選手1人1人が出来ることを「MAX」でやるという意識は出ている。山田哲は「本当にびっくりするほどかみ合っていない。でも雰囲気は悪くない」と前を向く。降り続く2週間の長雨。神宮のスタンドに揺れる傘の下から「頑張れ!」の声が飛ぶ。【島根純】

 

▽ヤクルト高梨(5回9失点で4敗目)「点を取ってもらったのに野手の方に申し訳ない。序盤にいい流れで点を取ってもらって、その流れを崩してしまった」

▽ヤクルト田畑投手コーチ(投手陣に)「せっかく野手が打ってくれたのに申し訳ない。ピッチャーがリードを保ったままつなげないといけなかった」