山賊対海賊の対決は、山賊に軍配が上がった。西武高橋光成投手(22)が、3年ぶりに入った打席では3三振も、本職のマウンドでは7回3安打2失点(自責2)と躍動した。リーグトップの日本ハム有原に続く6勝目は、デビューイヤーの15年5勝を上回る自己最多。尻上がりに球威の増す直球は151キロをマーク。変化球との絶妙の配球でDeNA打線を手玉にとり、2連勝へと導いた。

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雨中で始まった一戦は、山賊の土俵だった。雨が降り、無風のマウンド。高橋光が躍動した。リードをもらうたびに球威は増し、3回まで1球もなかった150キロ台を後半に入って連発。7回、直球勝負を仕掛ける。伊藤光を右飛、柴田は空振り三振、いずれも真っすぐで打ち取ると、最後の石川は150キロで見逃し三振。「いいバッターと対戦できて、自分の中で気合が入り、ギアをもう1つ上げることができた」と97球を振り返った。

西武が誇る山賊打線の最後方に加わった。指名打者のないセ・リーグ本拠地。交流戦の醍醐味(だいごみ)に「頑張って打ちたいと思います。打撃は好きな方」。前橋育英時代は4番も務めたが、結果は3打席すべて三振。4回と6回は、前打者が申告敬遠され勝負を仕掛けられた。「自信もって入ったけど、恥ずかしい」。プロ初安打こそ逃したが、打席での風景を懐かしみながらマウンドに立った。

5月1日の令和初戦で打ち込まれると、故郷の空気に触れるため地元の群馬・前橋へと車を走らせた。「同じことを繰り返してしまった。何も言うことができなかった…」。登板後の休日、元日婚をした夫人と一緒に、約2時間かけて実家へ向かった。夜は山に囲まれながらバーベキュー。「少しだけ嫌なことを忘れられるじゃないですけど、リラックスできると思って」とリセットした。嫌な流れを断ち切るすべは、プロ5年目で身につけている。

これで、1年目を超える6勝目。「今年は2桁以上が目標。まだ途中。通過点です」。かつて甲子園を沸かせた右腕が、看板の山賊打線に負けじと腕を振る。【栗田成芳】