「ウゥ~」。甲子園名物のサイレンではなく、鳴り響いたのはDeNAファンの大歓声。ヒーローの楠本泰史外野手がお立ち台に上がった。

もう1人の立役者も遅ればせながら登壇。駆け付けたタレントの柳沢慎吾(57)は、楠本に「込み上げてくるものがあった」と耳元でささやき、目頭を熱くした。試合前の大爆笑パフォーマンスから一転。2人は熱い握手を交わし、笑い抜きのお立ち台となった。

楠本が「アバヨ」と言わんばかりの1発を西武ファンが待つ左翼へ放った。2点を追う8回2死満塁。代打で登場すると、ヒースの151キロを逆方向へ運び「野球をやっていて良かった」。75年広島久保俊巳以来となる史上2人目のプロ1号代打逆転満塁弾。自身初の代打弾&満塁弾で“チームメート”慎吾ちゃんとのお立ち台をつかんだ。

試合開始20分前。名物コーナー、柳沢慎吾の甲子園ネタが始まった。花咲徳栄卒の楠本だが、柳沢と横浜高の一員に扮(ふん)し、なぜか? 花咲徳栄の一員となった球団OBのモーガンらと対決し、勝利していた。勝利校の特権・校歌斉唱も、横浜高。「歌えるまではいかないけど、メロディーは覚えていました」と柳沢と肩を組み、体を反りながら「全力校歌」で笑いを取った。“横浜”の「楠本&柳沢」で始まり、終わりもこの2人。「いい夢見ろよ」と言わなくても、ハマっ子にとって最高の1日となったはずだ。【栗田尚樹】

◆楠本泰史(くすもと・たいし)。1995年(平7)7月7日、大阪府吹田市生まれ。花咲徳栄では13年センバツ出場。東北福祉大を経て17年ドラフト8位でDeNA入団。18年3月30日ヤクルト戦で初出場。今季推定年俸1080万円。180センチ、77キロ。右投げ左打ち