初の4強入りした東農大北海道(北海道学生)が、準決勝で明大(東京6大学)に1-5で逆転負けを喫し、道勢初の決勝進出を逃した。

初回に2番新宅優悟中堅手(4年=飛龍)のソロ本塁打で先制。1-1の8回に暴投で勝ち越しを許し、2ランなどで追加点を挙げられた。道勢として4強の壁、20戦全敗となった東京6大学の壁に阻まれ、悲願の日本一は秋へ持ち越された。

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決勝へ、あと1歩、届かなかった。東農大北海道は初回に新宅のソロ本塁打で先制。2回に守備の乱れで追いつかれたが、以降は1-1のまま持久戦が続いた。8回2死三塁。6回から登板した1年生投手、伊藤茉の相手4番への2球目、スライダーが暴投となった。三塁走者が勝ち越しのホームを踏み、明暗を分ける1球となった。「前のボールが高めだったので、修正しようと。それが、ああいう結果につながった」と伊藤茉は涙目で振り返った。

日本ハム玉井や井口、ソフトバンク周東ら、プロ入りのOBたちも立てなかった全国準決勝の舞台。チーム力で勝ち上がったナインは、堂々と戦った。明大はプロ注目のエース森下を温存しても、先発全員が甲子園経験者。名門リーグ覇者との戦力差は歴然だった。

それでも就任2年目の三垣勝巳監督(39)は、日々こう言い聞かせている。「学生なんだから、まずは一生懸命やろうじゃないか。みんなで全力を出した先に、必ず得るものがある」。PL学園時代に横浜との延長17回を経験して感じたことだ。この日も決戦前、「同じ大学生だろ」と、名前負けして気後れするのを禁じ鼓舞した。終盤に寄り切られ、道勢としてまたも4強、東京6大学の壁を乗り越えられなかったが、強気に臨んで勝利を目指した。

試合を重ねて成長を続けた。リーグ戦は旭川大に2連敗からのスタートだった。苫小牧から6時間かけて網走へ帰るバス車内の空気は重苦しく、リーグ優勝を諦める言葉を漏らす選手もいた。打てずに負けた。だから、到着後の午後6時から約2時間、気持ちを切り替えられないまま、まずはバットを振った。あの時の姿を思い起こし、指揮官は「選手たちは良くやってくれた。下を向く必要はない」とたたえた。

次なる目標は明確だ。先制弾を放った新宅は「もう優勝しかない。また秋まで練習していきたい」と言い切る。オホーツク旋風を巻き起こしたナインの日本一への再挑戦が、この日から始まった。【保坂果那】

◆全日本大学選手権の道勢の4強 今回の東農大北海道を含め4校が計5度進出している。58年に北海学園大が初進出を果たし、中大に0-5で敗戦。60年に2度目の進出も法大に0-9で敗れた。74年に札幌大が早大に1-5で黒星。17年に東海大北海道が立大に0-1で競り負けた。