西武源田壮亮内野手(26)が、軽量バットで魔法をかけた。1点を追う3回2死一、二塁。初球149キロの直球に振り負けないスイングスピードで打球を左中間へ運んだ。

同点の適時二塁打。「早い回に追いつけてよかった」。先頭打者本塁打を浴びたが、序盤に追い付き主導権を握りかえした。チームは4回に勝ち越し、5回には自らの手で点差を広げる犠飛を放った。

遠征続きの5月を終え、交流戦3カード目の巨人戦から850グラムの超軽量バットを手に取った。同僚の熊代のバット。昨季も使用したことがあったが、疲労感の感じた前カードから再び使い始めた。普段は890グラム。「軽いから操作性もいいしバットが振れる。ヘッドスピードが上がるから、当たったときに打球も飛ぶんですよ。(適時打も)軽いバットじゃなければファウルだったと思います」。効果を発揮しファウルゾーンに切れることなく安打にし、3カードぶりの勝ち越しを呼び込んだ。

そのバットは球界にも広まりつつある。昨季は浅村が使用してキャリアハイをマーク。さらに日本ハム中田からも依頼を受けた。熊代は「魔法のバットになりつつあります。僕にも効いてほしいですが」(笑い)。源田はこの6試合の打率4割3分4厘と急上昇。球界屈指の強打者も愛用するバットで好守好走塁に加え打撃も開眼しつつあるのは魔法ではなく現実だ。

前日9回の送球ミスは簡単に吹き飛ばした。「ミスはもう考えない。1年目は引きずっていましたけど。ミスしても今はその日で終わり」。バットのマジックは、まだまだ解けそうにない。【栗田成芳】