楽天平石洋介監督(39)は包み隠さずに言った。「今日負けたら、ダメでしょう。初回6点取って負けたら、シーズンがガタガタいく。そのくらい大きな意味を持っていた」。

先頭から8者連続出塁の1回に6得点でDeNA大貫をKOも、その裏に先発古川が1死しか奪えず3安打4四球で7失点。指揮官が「僕もそうだし、ほとんどの人が初めて見たと思う」という異様な立ち上がりで始まった乱戦を、今季21度目の逆転で制した。

最大の立役者は2回の守備からマスクをかぶった山下。「最初からコーナーを狙わず、ストライクを先行させてからゾーンを広げて使っていくイメージ」。テンポを上げる狙いがはまり、試合を引き締めた。7回の逆転弾は左翼への追い風に乗せた。前日の練習から左翼ポール付近は特に打球が伸びることを把握。6回にブラッシュの右飛が押し戻されるのを見て「いつもの引っ張りスタイルじゃダメだ」と腹を決めていた。

救援陣も5回以降を無失点。四球後の3者連続三振で自己最多に並ぶ月間10セーブ目の松井は代弁する。「森原さんは連投で青(山)さんも3連投明け。ブセ(ニッツ)も昨日(サヨナラ負け)のリベンジをした。みんながつないだものを受け取って勝てた。(古川)侑利だって、次頑張ってくれるはず。助け合いなんで」。総力戦で交流戦Vの可能性を残した。【亀山泰宏】