巨人吉川光夫投手(31)宇佐見真吾捕手(26)と、日本ハム藤岡貴裕投手(29)鍵谷陽平投手(28)の2対2のトレードが成立し、26日に両球団から発表された。レギュラーシーズン再開前に、中継ぎ投手の補強を目指した巨人と、捕手、投手の選手層の厚みを求めた日本ハムの思惑が一致した。過去にもトレード実績がある両軍が、電光石火でまとめたトレードの背景を探った。

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抑えの中川につなぐ勝利の方程式を確立できていない巨人にとって、中継ぎの補強は急務になっていた。先発投手の防御率はリーグ2位だが、救援陣は同4位の3・83。首位に立ちながら、逆転負けはリーグワーストタイの16試合を記録している。一方で捕手は炭谷、小林に加え、5番に定着した大城が一塁と兼任し層が厚い。

来日した新外国人、元ダイヤモンドバックス傘下3Aのルビー・デラロサ投手(30)に加え、150キロを超える直球が持ち味の鍵谷、中継ぎ左腕の藤岡は弱点を補う存在になり得る。

原監督は「両軍にとっていい形になるといいですね。我々も手助けしながら、いいものが出せるようにしたい」と言った。東洋大時代にドラフトで3球団競合した藤岡については「このところ少し消化不良的なところがあるので、気分一新、水を得た魚(うお)のごとく暴れてもらいたい」と期待した。その上で2人とも2軍からスタートさせる方針。「もう戦いは始まっている。実力至上的なもの」と特別扱いせず、現有戦力との競争に勝ち抜いて、ブルペンの一角を担うことを求めた。

救援陣はマシソンが右足内転筋の肉離れで離脱し、右ひじ違和感から復帰したクックは、2軍でクイック克服に取り組んでいる。絶対的存在がいない中、レギュラーシーズン再開前に一気に3投手を補強。原監督は「わが軍は途上である」と言った。【前田祐輔】

◆藤岡貴裕(ふじおか・たかひろ)1989年(平元)7月17日生まれ、群馬県渋川市出身。桐生第一では甲子園2度出場。11年ドラフトで3球団競合の末、ロッテに1位で入団。18年7月にトレードで日本ハム移籍。通算166試合、21勝32敗、防御率4・16。今季推定年俸2900万円。183センチ、94キロ。左投げ左打ち。

◆鍵谷陽平(かぎや・ようへい)1990年(平2)9月23日、北海道七飯町生まれ。北海では2年秋からエースで、3年夏に甲子園出場。中大を経て12年ドラフト3位で日本ハム入団。通算253試合、15勝12敗5セーブ、防御率3・63。今季推定年俸4300万円。178センチ、85キロ。右投げ右打ち。

◆吉川光夫(よしかわ・みつお)1988年(昭63)4月6日生まれ、福岡県出身。広陵から06年高校生ドラフト1巡目で日本ハム入団。12年に最優秀防御率に輝き、MVP、ベストナイン。16年オフにトレードで巨人移籍。通算205試合、55勝67敗3セーブ、防御率3・88。今季推定年俸7500万円。178センチ、76キロ。左投げ左打ち。

◆宇佐見真吾(うさみ・しんご)1993年(平5)6月4日、千葉県松戸市生まれ。市柏-城西国際大を経て、15年ドラフト4位で巨人入団。17年にデビューし、8月18日DeNA戦でプロ初本塁打をサヨナラ弾で飾る。通算53試合、20安打、4本塁打、打率2割1分7厘。今季推定年俸1600万円。181センチ、90キロ。右投げ左打ち。