ソフトバンクが逆転勝利で交流戦から続く連勝を5に伸ばした。2位楽天との直接対決で8回に試合をひっくり返されたが、その直後再び主導権を奪い返す白星で、同カードの連敗を5で止めた。8回に逆転打を放ったジュリスベル・グラシアル内野手(33)は来日最多の1試合6打点。楽天とは3ゲーム差となり、独走気配が漂い始めた。

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最後に決めたのもグラシアルだった。「相手は2位のチーム。ゲーム差はそこまでない。勝たなきゃいけない試合ではあったが、自分の中では特別な意識はなかった」。楽天との首位攻防戦の重みを理解しつつ、気負いはなかった。最大4点あったリードをひっくり返された直後の8回。1死満塁で右前打。再逆転の一打で勝負を決した。

口火を切ったのもグラシアルだ。初回無死一、三塁。高めボール球を強引に右翼席へ運ぶ17号3ランで先制した。「野球には自分でも信じられないプレーがある。練習でしているわけではない。反射的に打って、芯でとらえることができた」。自身もビックリの一打。日本では「大根斬り」とも表現される悪球打ち。キューバでは「カーニャという植物があって、斜め上から切るんだ。ああいう打ち方をすると『お前はカーニャを切っているのか』と言われるね」と笑った。6回にも犠飛を放ち、チームの8点中6点をたたき出す大車輪の活躍だった。

グラシアルは7月末にペルーで予定されている国際大会に出場するため前半戦終了後から一時離脱する。「残っている試合を全力でやることは変わらない。戻ってきたときに1位でいられるように貢献したい」と力強く言った。

球宴まで勝負の9連戦。首位ターンを狙うためにも、工藤監督は2位楽天との直接対決を重要視していた。好調の明石を今季初めて1番起用。6回には左腕高梨に対し、その明石に代え、代打塚田を投入した。「もう1点ほしいところ。少し早いかな、というのはあったが塚田くんにいってもらった」。明石の腰の不安も考慮し、次戦以降への備えも含めて思い切った采配だった。1点を追う8回には、途中出場の高谷に代走を送った。ベンチに捕手は若手の栗原だけだったが迷いはなかった。

4試合連続の逆転勝利で、連勝は5に伸びた。選手の集中力と、指揮官の勝負手も決まり、3試合連続で8回以降の逆転劇でもある。V奪回へ、頭1つ抜けつつある。【山本大地】