泥沼10連敗。広島は投打がかみ合わず、中日に敗れて8年ぶり10連敗を喫した。首位巨人とのゲーム差も今季最大10に広がった。先発山口、2番手遠藤の高卒2年目右腕がともに失点を重ねると、打線は好機をつくりながら11残塁と拙攻が目立った。それでも緒方孝市監督(50)はチームの浮上を信じ、前半戦最後の戦いに向けて前を向いた。

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チームバスまで続く敗戦の帰り道で、緒方監督は真っすぐ前を見据えた。思うように投打がかみ合わない試合が続く。我慢の日々も、気づけば連敗は10。首位巨人とのゲーム差も10まで広がった。それでも指揮官は「最後の最後まで全員で気持ちを向けて戦ったので、明日もまたそういうふうに戦いたい」と就任後初の大型連敗にも、決して下を向かなかった。

序盤の大量ビハインドが重くのしかかった。先発山口は思い切りの良さを欠き、1回3失点KO。2番手遠藤は踏ん張ったものの、1点ビハインドの5回。2死一、三塁で8番石橋を迎えた。四球で歩かせてもいい場面。厳しいコースが求められたところで痛恨の失投が勝負を分けた。どちらも高卒2年目の20歳右腕だが、山口は若さを出し切れず、遠藤は若さが出た。

攻撃陣が援護しきれなかった。前日コンディション不良で欠場の菊池涼が復帰した打線は先発野手全員安打。3試合ぶりに2桁安打を記録した。だが、好機をつくりながらあと1本が出ない攻撃で、終わってみれば11残塁。最後まで試合の流れを引き寄せることができなかった。

なかなか長いトンネルから抜け出せない。投手陣が踏ん張れば、攻撃陣が振るわず。攻撃陣が得点を奪うと、投手陣が崩れるという悪循環にはまっている。前回の10連敗では0封負けが6度もあったが、今回は1度。得点できていないわけではない。投打の歯車がかみ合っていない。

選手会長会沢は「やっていくしかない」と毅然(きぜん)とした態度を貫いた。下を向いては、浮上のきっかけさえつかめない。前半戦も残りあと1試合。アップダウンの激しい戦いが続いた前半戦を勝利で終え、後半戦に弾みをつけたいところ。どん底にいる今、3連覇した経験が試される。【前原淳】

▽広島佐々岡投手コーチ(山口について)「1回ずつの気持ちで行け、という中で初回ああいう形になってしまった。最初の頃のような腕の振りと勢いがない」

◆複数球団の大型連敗 今季はDeNA、ヤクルト、楽天に次いで広島も2桁連敗。同一シーズンに4球団が2桁連敗したのは50、17年に次いで史上3度目。50年は広島(13と12)国鉄(14と10)西日本(12)阪急(11)、17年は巨人(13)ヤクルト(14と10)日本ハム(10)楽天(10)が喫した。7月までに4球団が記録したのは史上初。