甲子園の名将と大エースが34年ぶりの共闘だ。高校野球のOBで争う「マスターズ甲子園」を目指すPL学園が15日、堺市で府予選準々決勝に臨み、24-1で富田林に圧勝した。

春夏甲子園通算58勝を挙げた中村順司元監督(72)が、総監督として同予選初のベンチ入り。同校監督を退任した98年選抜大会準決勝・横浜(神奈川)戦以来のPL学園のユニホーム姿で試合前ノックを行い、試合中はベンチに陣取った。

恩師の見守る前で先発を任された元エースの桑田真澄氏(51=野球評論家)は、先頭打者に初球を捉えられ、左前打。ここからPL学園、巨人の元大エースのハートに火がついた。2番打者から3者連続奪三振。代名詞のカーブをネット裏から見た他校のOBが「あんな変化球は打てんわ…」と舌を巻いたほど。キレキレの投球を見せ、1回を無失点で投げ終えた。

打線も満塁弾などで、24得点の快勝。ときおりブルペンに足を運びながらも、一塁側ベンチ最前列で声援を送った中村総監督は「いい試合を見せてもらいました」と笑顔で教え子をねぎらった。

大会のルールで、1試合をシニア、ミドル、ヤングで戦う。全国制覇を経験したシニア世代に比べ、ミドル世代は甲子園とは無縁だったOBもいた。「きょうはそういう教え子たちが本当に頑張って、たくさん点を取ってくれた。それがうれしかったです」と中村総監督。準決勝は21日。準決勝、決勝、代表決定戦と残り3勝で懐かしい甲子園切符を手にする。