楽天美馬学投手(32)が令和初の快挙を逃した。プロ野球史上16人目の完全試合まであと3人と迫るも、9回の先頭打者に四球。続く打者にヒットを許し、球団史上初のノーヒットノーランも逃したが、2安打1失点でソフトバンク千賀に投げ勝って今季チーム初の完投勝利。チームトップに並ぶ6勝目を挙げた。

美馬の106球目、この日何度も左打者の懐をえぐってきたカットボールが、フルカウントから高めに浮いた。明石を歩かせた瞬間、満員御礼の本拠地がどよめいた。マスクをかぶる堀内がすかさず間を取り、続く栗原を初球で詰まらせたが左前にポトリ。ノーヒットノーランも消えた。

「いやー、やっちゃうんじゃないかと思ってました。最後がフォアボール、一番ダメですね」とおどけたが、予感はたっぷり漂っていた。カットボール、スライダー、シュートで横に揺さぶり、決め球はチェンジアップとフォーク。「自分のさじ加減で投げている」という縦の変化。フォークを引っかけ気味だった序盤はチェンジアップに頼り、徐々に感覚をつかんでフォークを増やす駆け引きで的を絞らせなかった。

86試合目でチーム初の完投勝利。これまでチーム唯一の完投も、6回降雨コールドとなった6月29日のロッテ戦で美馬が記録していた。20日に先発予定だった岸が体調不良で抹消。「岸さんがいない中で(カード頭の)僕でいきなり中継ぎをたくさん使うわけにはいかなかった」。則本昂や岸を長く欠いた中、開幕からローテを守る責任感で投げきった。【亀山泰宏】