来日10日目の阪神ヤンハービス・ソラーテ内野手(32)が、甲子園デビューを逆転サヨナラの3号2ランで飾った。5-6の9回無死一塁で中日岡田から左翼へ運んだ。5回に放った2号2ランは球団通算8000号のメモリアル弾。4安打の一方で遊撃守備で2失策もあったが、ハラハラドキドキ、記憶と記録に残る「ソラーテ劇場」で中日戦の連敗は7で止まった。

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ウオーターシャワーでぬれたソラーテも、セクシーだった。9回にサヨナラの2ラン。目をクワッと見開いた興奮状態で三塁を回ると、右手を天に突き上げながらジャンプして、神に感謝。続けて両手を縦に開いてバチンとたたく「クロコダイルポーズ」を決めた。

「信じられない。アリガト、アリガト、アリガト!」

シーソーゲームに終止符を打った。5-6の9回無死一塁。右打席に立って左腕岡田の初球138キロを強振した。この試合3度目の逆転だった。一気に押し寄せた感情を言葉に乗せてファンに伝えた。「こんなにすごい歓声の中で(プレー)できたのは初めて。自分のキャリアで1番のファンの方々だと思う。これから皆さんのために、100%、200%、300%で戦っていきたい」

メジャー通算75本塁打を放ったバットは、期待値を超えている。5回の一時逆転となる2ランは球団通算8000号となり「新たな球団の歴史に名前を残すことができてうれしい」と誇らしげだった。

愛称は「セクシータイム」。本拠地デビューで選んだ登場曲は米国の2人組ラッパー、LMFAOの「Sexy and I Know It」だった。自身にぴったりの楽曲で打席でノリノリになり、6回は左打席で来日初安打を放って初の猛打賞とし、最後は4本目も飛びだした。4打点の活躍だった。

ただ、課題も残した。黒土グラウンドへの対応はできておらず、遊撃の守備で5回に捕球ミス、6回は一塁悪送球を犯した。「汗にまみれてやることが勝ちにつながる」。ファンの期待に華麗な守備でも応える本物の「セクシータイム」まで、あと少しだ。矢野監督は「最後、打ってくれるとはね。試合の流れを変えてくれる。まさかね…」と興奮を隠しきれず。2失策を犯した守備には「全て取り返すようなことをしてくれた」と課題には目をつむって感謝しつつ、守備位置の再考も示唆した。

歓喜の輪が解けると、ソラーテは一塁側ベンチ上を指さした。プレー中も付けている左手薬指のゴールドリングが、キラリ光る。視線の先には、守るべき家族が…。「いつもエネルギーをくれる。これからも家族のために全力でやっていきたい」。国を越えても、いつだってパパはヒーローでありたい。3人の娘を、真っすぐに見つめるソラーテの瞳はぬれていた。【真柴健】

▽阪神矢野監督(ソラーテのサヨナラ弾を)「ああいうところで打ってくれるのを期待して、来てもらった選手。試合のなかで流れをかえてくれる。まさか、あそこで打ってくれと思いましたけど…。ホント、よく打ってくれました」

▽阪神浜中打撃コーチ(ソラーテの打撃に)「しっかりコンタクトできる。もっとドアスイングしてくると思ったけど、実戦になると内から出て合わせてくる」

▼ソラーテが甲子園での自身初出場の試合でサヨナラ本塁打。阪神の外国人選手のサヨナラ本塁打は、マートンが13年6月9日ロッテ戦で打って以来6シーズンぶりだが、甲子園での初出場の試合でのサヨナラ本塁打となると、ソラーテが球団外国人初だ。

▼甲子園での自身初戦で本塁打は、阪神の平成以降の外国人では、00年タラスコ、02年アリアス、09年ブラゼルに次ぎ、4人目となった。

▼ソラーテのサヨナラ本塁打はパドレス時代の17年9月3日ドジャース戦以来。